すでに秋葉原の店頭に並ぶなど、噂の渦中となっていたAMDの最新チップセット「AMD 780G」。このAMD 780Gはグラフィック機能を統合したいわゆる「IGP」であり、AMD 690Gを引き継ぐ製品となる。今回はこのAMD 780Gの評価機を入手し、ベンチマークおよび消費電力を測定してみることにした。

まず、AMD 780Gの概要から紹介していこう。AMD 780GがAMD 690Gより進化したポイントは、

  • 55nmプロセスを採用
  • 統合されたグラフィックコアが「ATI Radeon HD 3200」へと進化
  • ATI Radeon HD 3200はDirectX 10に対応
  • Hybrid CrossFireに対応
  • UVD機能が拡張されH.264、VC1に対応
  • HDMI出力に加えDisplay Portにも対応(HDCP対応)
  • PCI Express x16スロットがGen 2に対応
  • Hyper-Transport 3.0をサポート
  • 組み合わせるサウスブリッジチップに「SB700」を採用
  • SATAが6ポートに増強
  • USB2.0が12ポートに増強

……となる。列挙するとかなりの迫力となるが、つまるところ、グラフィック面の強化によってWindows Vistaへの対応も万全といったところ。DirectX 10も普及しはじめ、今後カジュアルゲームがDirectX 10に対応してきた時には、こうしたタイトルを楽しむことも可能となるだろう。そしてちょうど次世代DVD規格に決着がついた今、パソコンでHDタイトルを視聴する機会はいっそう多くなってくると予測されるが、AMD 780Gは拡張版UVDやHDMI/Display Portなどをサポートしており、このあたりの備えも抜かりなしといったところである。

また、最新プロセスの採用による省電力化もアピールポイントとなっている。最初から低消費電力PCの自作を狙う場合はもちろん、例えばコストを重視して統合型チップセットを選ぶとしても、システムが低消費電力であることは大きなプラス要素。付随してファンノイズを減らすことが可能となり、システムの静音化にもつながっていく。こうしたところがAMD 780Gの強みだ。

そして同時に発表されたのが2.5GHz駆動でTDPが45Wと低消費電力向けの「Athlon X2 4850e」。TDP45Wというと、これまでのAthlon X2 BEシリーズと同等。BEシリーズの最上位であるBE-2400が2.3GHzであったため、これを200MHz更新したことになる。また、低消費電力なチップセットであるAMD 780Gと組み合わせ、より低消費電力なプラットフォームとしてアピールしようというのがAMDの狙いでもあるようだ。

モデルナンバー 4850e 4800+ BE-2400
ソケット形状 AM2
動作クロック 2.5GHz 2.3GHz
L1キャッシュ (64KB+64KB)×2=256KB
L2キャッシュ 512KB×2=1MB
製造プロセス 65nm SOI
対応メモリ PC2-6400(DDR2-800)
動作電圧 1.15/1.20/1.25V 1.325/1.35/1.375V 1.25V
TDP 45W 65W 45W

次ページ以降では、AMD 780G、Athlon X2 4850eという2つを組み合わせた、低消費電力プラットフォームをチェックしていきたい。