AMD Phenomは良くも悪くも話題満載なCPUである。まだ高クロック版が登場しておらずライバルを迎撃できない、とか現行のB2シリコンはTranslation Lookaside Buffer(TLB)エラッタを抱えていてこれをBIOSから修正するとパフォーマンスが落ちる、とかいった点はマイナス評価。逆に、約2万円台前半~3万円弱で入手できるという製品価格や、倍率ロックを解除したPhenom 9600 Black Editionの登場はプラス評価といったところだ。

特にPhenom 9600 Black Editionは、オーバークロッカーにとって注目の製品。クロック倍率とベースクロックの変更を組み合わせることで自由度の高いオーバークロックが楽しめるほか、もし仮想Phenom 9700や9800、9900……などが成功してしまえば3万弱のCPUがン万円の価値を持つCPUに大化けする可能性だってある。

クロック倍率を定格の11.5倍以上にも変更できるPhenom 9600 Black Edition

路線変更~Phenom 9600 Black Editionをダウンクロックしてみた

さて、筆者の手元にもPhenom 9600 Black Editionのサンプルが届いた。しかし時期を逸したこともあり、Phenom 9600 Black Editionのオーバークロックはネタが出尽くしたといってもよい状況だ。さらに悪いことに、使用機材との相性か、たまたまハズレを引いたのか、いくらベースクロック・電圧・倍率をいじっても、どれだけ冷却ファンを追加しても2.4GHzが精一杯で、それ以上クロックが上がる兆しは見えてこない。とっくに2.6GHzを実現している個体も報告されているなか、2.4GHz止まりでは話題にもならない。

ということで筆者好みの"低消費電力路線"に変更しようと担当編集に相談したところ、これがあっさりと通った。こういったテストならそもそもBlack Editionである必要性は薄いのだが、まぁ手元にあったのがたまたまBlack Editionだったというわけで……。言い訳がましく申し訳ないが、そんな具合で今回はPhenomのダウンクロックレポートをお届けしたい。

※ご注意:ダウンクロックに関して編集部および筆者は責任を負いません。オーバークロック同様、くれぐれも自己責任でお試しください。なお検証結果は今回のテスト環境下でのものであり、そのクロック周波数での確実な動作や、実際の製品で同じベンチマークスコアが得られることを保証するものではありませんので、あらかじめご了承ください。