G80こと「GeForce 8800 GTX」が発表されてからはや1年。ハイエンドモデルだけでなく、ミドルレンジの「GeForce 8600 GTS」がヒットするなど、NVIDIAの快進撃は続く。そこに登場した「GeForce 8800 GT」は手ごろな価格のハイエンドモデルとして大きな注目を集めている。そこで今回、NVIDIA製ハイエンドGPUにおけるGeForce 8800 GTの位置づけを確認するため、各種ベンチマークテストをとおしてパフォーマンスを検証してみた。

「DirectX 10」時代を乗り切るために

GeForce 8シリーズの最大の特徴はやはり「DirectX 10への対応」。しかし、実際にGeForce 8シリーズを取り巻く環境を見ると、やや寂しい実体を目の当たりにすることになる。Windows Vistaの伸び悩みやゲーム開発側の適応の遅れなどで、これぞDirectX 10世代のGPUだ! と実感できる状況をなかなか見出せないからだ。そういった中、DirectX 10時代への本格的な突入を予感させるキラータイトルの登場がすぐそこまで迫っている。先日、満を持してデモ版がリリースされた「Crysis」や「Unreal Tournament 3」といったゲームタイトルがその筆頭格だ。こうした期待のタイトルを存分に遊びつくすためには……正直GeForce 8600 GTSなどのミドルレンジではモノ足りない。とはいっても、GeForce 8800 GTXやUltraといったハイエンドモデルはあまりにも高価。コストパフォーマンスモデルとして人気のGeForce 8800 GTSはというと、SP(ストリーム・プロセッサ)の数が絶対的に少ないため、高画質環境では息切れしやすい。ゲーマーにとっては何とも困った事態なのだ。

「GeForce 8800 GT」はDirectX 10時代の切り札になるか?

このジレンマを解決する、いわば"次世代ゲーム迎撃用"と呼ぶに相応しいGPUが、NVIDIAから先日リリースされたばかりの"G92"こと「GeForce 8800 GT」だ。GeForce 8800 GTの詳細については、西川善司氏の記事にてすでに解説済みだが、一応、簡単にスペックをおさらいしておこう。

テストに使用したグラフィックスカードはXFXの「PV-T88P-YDFP」

GeForce 8800 GTの基本的な設計は従来のG80系と同じだが、PCI Express 2.0への対応と第2世代のPureVideo HDが新規で盛り込まれているのがポイント。さらに製造プロセスが65nmにシュリンクされている点も注目しておきたい。3D性能を左右するSP数は、これまで準ハイエンドのポジションにいたGeForce 8800 GTSを上回る「112」。ただし、ビデオメモリ容量の最大値とメモリバンド幅はGeForce 8800 GTSよりも若干減らされている。

GeForce 8800 GTX GeForce 8800 GTS GeForce 8800 GT
コアクロック 575MHz 500MHz 600MHz
SP数 128 96 112
シェーダクロック 1.35GHz 1.2GHz 1.5GHz
メモリクロック 1.8GHz 1.6GHz 1.8GHz
ビデオメモリ容量 768MB 640/320MB 512/256MB
メモリバス幅 384bit 320bit 256bit

GeForce 8800 GTを搭載したグラフィックスカードの場合、リファレンスデザインでは、薄いヒートシンクを採用した1スロットタイプとなっている。冷却性能については多少不安が残るものの、隣接スロットが自由に使えるのは歓迎したいところである。