新製品のテーマ「プレミアム」を説明するソフトバンクモバイルの孫正義社長

既報の通り、ソフトバンクモバイルは今後年末にかけて発売する冬商戦向け携帯電話を一斉に発表した。22日に都内で行われた発表会の冒頭、代表取締役社長兼CEOの孫正義氏は、新製品のテーマは「プレミアム」であると強調。機能、デザイン、ファッション性といった各ポイントを強化した機種はこれまでもあったが、そういった要素単位のアピールでなく、あらゆる意味で他社にない上質感や付加価値を持つのが今回の製品群であると説明した。

発表会は、折りたたみ型携帯電話としては日本最大級の3.2インチワイド液晶を搭載した「920SH」、より本格的なデジタルカメラ機能を備える「PHOTOS 920SC」の紹介から始まった。デジタル機器の製品発表会では、機能が豊富なフラッグシップモデルの説明に十分な時間をかけるため、このように高機能製品の紹介から始まるのが常である。

しかし、今回同社がステージでのアピールに最も力を入れたのは、900番台の型番を持つハイエンド機種ではなく、文字通り発表会のテーマである「プレミアム」を愛称として冠した「THE PREMIUM 820SH/821SH」だった。この日は「シャア専用ケータイ」などのユニークな機種や、後述するYahoo!ケータイの新機能などの発表もあったが、それらの説明がすべて終わった後で孫社長は「最後にとっておきの……僕自身が次の個人用ケータイとして乗り換えるとするならこの機種にしたい、本当にプレミアム感のある機種を用意しました」と話し、THE PREMIUMの2機種を発表した。

ほかすべての説明が終わり、発表会の最後に登場した「THE PREMIUM 820SH/821SH」

820SH・821SHを手にした外国人モデルが現れ、製品をひとしきりアピールすると、一度舞台の袖に消えていた孫社長がタキシード姿に着替えて再び現れ、両製品について「今日の発表会の一番のメイン機種。世界最薄のワンセグケータイで、しかもこの質感。ただ薄いだけでなく、おサイフケータイなど機能も豊富だし、ボタンも押しやすく操作しやすい。"大人のワンセグ端末"と言える」と説明した。

モデルたちに続いて、タキシード姿になって現れた孫社長

同社が今回、機能以上に端末の上質感にこだわったのは、2006年10月の「SoftBank」ブランド立ち上げ以来1年が経過したところで、次に目指す方向を示したものと言える。「ホワイトプラン」の好調が5カ月連続の契約者純増数ナンバーワンにつながるなど、携帯電話会社として相応の認知が進んだ同社だが、「他社より安いケータイ」というポジションは獲得したものの、上質な製品・サービスを提供するというイメージはまだ得られていない。孫社長によると、ボーダフォンからソフトバンクに変わった以降に増えた加入者は女性より男性のほうが多いという。一般的に、実利だけでなくブランドイメージを重視すると言われる女性に、どうアピールしていくかが今後同社の重要な課題のひとつとなる。