組み込みデータベースの必要性

それでは、組み込みデータベースはなぜ必要とされるようになってきたのでしょうか。例として携帯電話を見てみましょう。携帯電話には、アドレス帳やスケジュール帳、音楽、動画、写真、ゲームなど、使いこなせないほどのさまざまな機能が付いています。アドレス帳ひとつ取っても、複数の電話番号やメールアドレス、住所、誕生日など、さまざまな情報が登録でき、もはや"ただの電話"ではなくなっています。

ここで、10年前の携帯電話を思い出してみて下さい。画面は白黒で小さい、文字はカナのみ、アドレス帳も電話番号だけ、インターネットなんてもってのほか、何よりも現在とは比べようもないほど大きなものでした。

携帯電話だけを見ても、この10年でこのような大きな変化を遂げてきました。デジタル家電や音響機器など身の回りのさまざまな製品も同様で、大きさはよりコンパクトになり、たくさんの機能が付加されました。この多機能化を実現させた要因としては、マイコンの高速化(図4)、メモリの大容量化が挙げられます。当然ですが、機能が多くなればなるほど、メモリ容量が大きくなればなるほどデータ量は膨大となります。この膨大な量のデータを扱うために組み込みデータベースを使用することはもはや必然となってきています。

【図4】組み込み機器に用いられるマイコンの種類
最近では、16ビットマイコンや32ビットマイコンが主流となっている
※出展:2006年版組込みソフトウェア産業実態調査報告書