人々がほしいと思うイノベーション
Otellini氏は最後に、PCユーザーを増加させる"エクストリーム"として、成長市場やデジタル格差解消の取り組みを説明した。現在、世界の小中高校で学ぶ子供は約12億人。ところが、利用されているPCの数は1500万台にとどまる。Intelは、Intel Teachプログラムを通じて教育者を支援し、低価格PCプラットフォーム「Classmate PC」を用意している。また100ドルPCプロジェクトとして知られるOne Laptop per Child (OLPC)にも参画。技術および教育面での協力を行っている。
講演の最後のスライドは、科学者/発明家のCharles Kettering氏の「人々がほしいと思う製品をいくつか作ればビジネスは自然と立ち直る」という言葉だった。Intelは、これをIT業界が低迷した2001年のIDFで紹介している。過去6年の回復をアピールする狙いだったのだろう。ただ、Intelは一昨年から昨年にかけてAMDの猛追を受け、厳しい状況に置かれた。そのため、しばらく前のIntelがかみしめた言葉にも聞こえる。
今年はIDFの米国開催が年1回となったこともあり、様々意味で今回の基調講演が注目された。サプライズこそなかったが、将来の話を含めて、地に足のついた事業展開が伝わってきた。Coreマイクロアーキテクチャ製品のリリースからTick-Tack戦略を打ち出し、イノベーションを安定して提供する基盤が整った効果なのだろう。新たな「エクストリームをメインストリームに」が実現しそうな印象を受けた。