2008年に低消費電力の"×10"を実現

「エクストリームをメインストリーム」にするためには、市場開拓の努力も必要になる。たとえば同社がCentrinoプラットフォームに無線LAN機能を搭載したことで、Wi-Fi市場の拡大が加速した。後半は、今後Intelがメインストリーム化に力を入れる2つの分野に焦点が当てられた。

最初に取り上げられたのは「モバイル」。2005年のIDFで同社は、「2010年にはIntelアーキテクチャをベースに消費電力が10分の1のハンドトップを実現する」としたが、その見通しを「2008年」に改め、さらに今回「2010年にはアイドリング時の消費電力10分の1を実現」を付け加えた。

消費電力1/10のハンドトップは2008年に実現

2008年登場予定の次世代モバイルプラットフォーム「Montevina」では、25Wで動作するPenrynデュアルコア・プロセッサ、WiMAXとWi-Fiのコンボモジュールが含まれる。世界各国でWiMAX導入の動きが着実に広がっており、日本国内でも18日にKDDIがモバイルWiMAXの事業化を目的とした「ワイヤレスブロードバンド企画」を発表。インテルも参画している。Intelでは、2008年のMontevinaリリースがユーザー側に浸透するきっかけとなり、2012年には世界規模で10億人がWiMAXを利用できるようになると期待している。また2008年の上半期には、低消費電力が追求されたモバイルプラットフォーム「Menlow」が登場する。MenlowもWiMAXをサポートしており、モバイルインターネットデバイスという新市場開拓に挑む。

次世代ノートPCプラットフォーム「Montevina」

2008年登場予定のモバイルインターネットデバイス向け「Menlow」

着実に拡大しているWiMAX導入の動き

WiMAX対応のMontevinaのデモ

Intelがメインストリーム化に力を入れるもう1つの分野は「グラフィックス」だ。ライバルのAMDが昨年ATI Technologiesを買収し、グラフィックス技術も融合可能なアーキテクチャを打ち出している。グラフィックスにおいてもIntelは、チップセット統合のグラフィックスでトップを走り続けているが、今後は低コスト・低消費電力の市場だけではなく、パフォーマンスの追求も課題になる。同社は14日に、物理演算エンジンを開発するHavokの買収を発表した。

オンラインゲームの世界ではPCがコンソールを圧倒

HavokバイスプレジデントのJeff Yates氏

X38チップセットを搭載したIntelシステムで、XtremeSystems.orgのCharles Wirth氏が2分間で、Super pi 1m、Aquamark 3、Cinebenchi 10 32bitの記録更新に挑戦。残念ながら2分10秒で完了

Wirth氏が用意した冷却システム。デモ時でマイナス160度に冷やしていた

基調講演ではまた、データの並列処理に特化した「Larrabee」にも触れた。Larrabeeは、IAベースのコアが多数配列されたメニーコアのCPUで、科学技術計算や金融などにおける高スループット・コンピューティングをサポートするが、Otellini氏は「One more thing...」としてグラフィックス処理にも言及した。具体的なリリース計画については明らかにされなかったが、2008年にはデモを披露できる可能性があるという。