会場に戻って電源ボタンを押すと、30組の参加者のパソコンはすべてが無事に起動し、自分の手で作り上げたパソコンが動いたことに子供たちは喜びの表情を見せ、一方お父さん・お母さんたちはホッ一安心したといった様子だった。この後、パソコンの性能に関するクイズでマシンへの理解を深めたり、ゲームを楽しんだりしたが、この日はひとまずここで"マイパソコン"とはお別れ。店頭で販売されている製品と同様の品質保証を行うため、工場で一度検査を行い、1週間ほどで参加者の元に発送される。

参加者全員のパソコンが無事に起動した
富士通アイソテック取締役 製造副統括部長の栃本政一氏

富士通アイソテック取締役で製造副統括部長の栃本政一氏は、「現在ではパソコンは家庭でも必要なツールになりましたが、内部のそれぞれの部品がどんな機能を持っているのかを知ってもらいながら、組み立ての楽しさ、難しさを体験してほしい」「今日組み立ててもらったパソコンも、いつか役目が終わるときが来ます。この工場では、そういうときが来ても地球にやさしく回収して、資源に戻すということもしています」と話しており、現代の「ものづくりへのこだわり」は、ただ生産するところだけを考えるのではなく、使い終わった後にどうするのかも真剣に考えているということを、今回の教室を通じて伝えたかったとしている。

同社のような工場では、そこで働く人々の多くは地元で暮らしており、地域との協力が不可欠だ。栃本氏によれば、この組み立て教室を始めたのも、地域の人々との交流の機会を作りたいという思いがきっかけだったという。また、製造技術部門、管理部門、そして組み立ての現場が一体となってはじめて運営できるイベントなので、同社の中でも普段以上のコミュニケーションが生まれる貴重な機会だとしている。

そして、現代の子供たちにとってパソコン自体はめずらしいものではないはずだが、自分の作ったパソコンが実際に動作したときには毎年誰もが笑顔を見せるということで、「我々自身にとっても楽しみ」(栃本氏)なイベントになっているという。経済的にも人的にもそれなりのコストがかかっている組み立て教室だが、こうしてさまざまな方面に貢献できるものなので、同社では今後も可能な限り継続して開催していきたいとしている。