10年後の2017年を見通して、半導体業界の将来、そしてEDAがどうなるかに関するパネルディスカッションが行われた。

2017年まで、Mooreの法則が継続し、ビジネス的なリスクはあるものの、半導体業界は少なくとも年率8%程度で成長を続けるというのがパネリスト全員の統一した意見であった。2006年の半導体業界の売り上げは、$250Bを多少上回る程度であるので、2017年には業界の規模は$600B程度となるという予想が一般的である。

しかし、微細化の進展に伴い、開発コストの高騰から新規設計のLSIの数は年々、減少すると見る。そうすると、設計ツールであるEDAの売れ先が減ってしまうが、一つ一つの設計は急速に複雑化するので、設計効率化の観点からEDAの必要性は増加し、EDA業界の売り上げに関して、微細化の影響は中立的とする見方が一般的であった。現状では、EDA業界の売り上げは、半導体業界の5%程度であり、2017年でも同程度の比率がキープできると考えている。

しかし、現状のEDAの主流である、チップのハードウェアを設計するツールは、相対的に比重が減少し、ヘテロジニアスなマルチコア並列のソフトウェアを開発するプラットフォームやコンパイラなどの組み込み用ソフトウェアを開発するツールの比重が高まると見る。

ソフトウェアツールやIP開発の観点から見ると、現状のように各社が独自の組み込みプロセサを開発し、500以上ものプラットフォームがある状況は効率的ではなく、近い将来にプラットフォームの整理がなされ、汎用的なプラットフォームが出現するというのがカリフォルニア大学バークレー校のKeutzer教授の見方である。Synopsys社の社長のGeus氏は、ビデオなどのピクセル関連の処理が急増し、処理能力の需要を牽引すると見ており、携帯のプロセサを含めた処理系がこのような汎用プラットフォームになる可能性が高いと見ている。

EDA業界としては、売り上げは半導体の売り上げに比例するが、その中身はソフトよりのツールに大きく変わって行き、また、開発の複雑度の急増に対応して開発効率を上げる必要性から、より高度なツールが求められる。NECの山田氏は、現在のハード中心のEDAを1.0とすると、ハード/ソフトの機能分担から始まる上流を含めた広い範囲をカバーするEDA2.0が必要と述べた。