デュアルコアながら45Wという省電力性を実現した「Athlon X2 BE-2350」「同 BE-2300」がAMDから発表された。65nmプロセスのRev.Gになってから、同社のシングルコア製品ではすでにTDPは45Wまで下がっていたが、デュアルコアの製品はこれまで65Wのままだった。今回、このBE-2350を試用することができたので、ここで早速その性能をレビューしてみたい。

「Athlon X2 BE-2350」。写真のサンプルの刻印は従来通り「Athlon 64 X2」となっているが、製品版では「Athlon X2」になるという

ここで注意深い人は、上記製品名から"64"の文字が抜けていることに気がついただろう。これは誤植ではなく、AMDのブランド変更があったためで、今後は「Athlon 64 X2」ではなく、単に「Athlon X2」と呼称するという。すでに同シリーズの64ビット対応ということは良く知られており、わざわざ強調する必要もなくなった、ということだろう。

BE-2350は4000+の低電圧版?

それではまずスペックから見てみよう。新製品のBE-2350/2300と、参考になりそうな従来製品の仕様を以下にまとめてみた。

既存のAthlon 64 X2との比較
モデルナンバー 4000+ BE-2350 BE-2300
コードネーム Windsor Brisbane
製造プロセス 90nm SOI 65nm SOI
動作クロック 2.0GHz 2.1GHz 1.9GHz
L2キャッシュ 1MB×2 512KB×2
TDP 65W 45W
コア電圧 1.20/1.25V 1.25/1.35V 1.15/1.20V

モデルナンバーこそ大きく変わったものの、BE-2350/2300は従来の65nm製品と同じBrisbaneコアを採用しており、コア電圧が若干下げられている他は大きな違いは見られない。動作クロックは、BE-2350が2.1GHz、BE-2300が1.9GHzで、L2キャッシュはどちらも512KB×2。動作クロックとL2キャッシュで見ると、既存製品ではそれぞれAthlon 64 X2 4000+と3600+に相当している。

モデルナンバーも一新

「なんで"2350"なんだ?」と思った人もいるだろうから、本題に入る前に、ここで新しいモデルナンバーについて説明しておきたい。ブランドの変更とともに、ナンバリングのルールも新しくなっており、同社によれば、今後、デスクトップ向けプロセッサにおいては、アルファベット2文字と数字4桁のモデルナンバーが採用されるという(ただし、既存製品については従来のまま)。

最初のアルファベット2文字はプロセッサのクラスを表しており、このうち2文字目の"E"は65W以下を意味するという。今回発表となったのはこのBE-2350/2300のみなので、BE以外にどのようなシリーズが出るのかは不明であるが、今後登場が予定されている1207+パッケージのPhenom FXやAM2+パッケージのPhenom X4/X2などには、これとは別の型番が用意されるのかもしれない。

それに続く数字は、最初の1桁が主な属性の単位ということで、今回の場合(2xxx)、デュアルコアのAthlon X2シリーズであることを示しているという。残りの3桁がポジショニングで、これが大きいほど性能が良いということになるが、同一シリーズ中での上下関係のみ意味しているのは従来と同様だ。

ちなみに、動作クロックで200MHzの違いがあるBE-2350と2300では、モデルナンバーは"50"しか違わない。従来、200とか400とか平気で上がっていたのに比べると、随分控えめな感じがしないでもないが、これはまぁ徐々に慣れるしかないだろう。