wizpyは携帯型のオーディオ / ムービープレイヤーとしての機能以外に、LinuxがプリインストールされたUSBメモリデバイスとしての機能を持つ。2GBモデルの場合、その限られたディスクサイズの半分以上をLinux関連のファイルで占めてしまうことからすると、Linuxが主でオーディオ / ムービープレイヤーとしての機能が従、と解釈することも可能かもしれない。

Linux-BOXとしてのwizpyは、一言でいえば"Turbolinuxそのもの"だ。KNOPPIXなどUSBメモリから起動可能なLinuxディストリビューション同様、単なる起動ディスクとして使用されるので、特別な機能というものはない。ATOK for Linuxとリコーの日本語フォント5書体が同梱されるなど、日本語環境が整備されている点は特筆できるが、処理速度や描画性能といったLinuxとしてのパフォーマンスはホスト側に依存するため、厳しい言い方をすればwizpyという"箱"は必ずしも重要ではない。

wizpyのUSBブートは、CD-ROMドライブのエミュレートにより行われる。USBストレージからのブートをサポートしないBIOSは少なくないが、CD-ROMブートであれば間口は広がる、という計算だ。その代償として、CD-ROM相当の約700MBものシステム領域が固定化されてしまうことになるわけだが、あくまでLinuxが主、という立場だとすればうなずける。

wizpy側でCD-ROMエミュレーション機能を有効にしてからブートを開始すると、そこから先はTurbolinuxの世界だ。デスクトップ環境はKDE、コントロールセンターのディストリビューション情報には「製品名:Desktop 11 (246)」と表示され、ディストリビューションとしてのベースが現行製品のTurbolinux FUJIということがわかる。カーネルのバージョンが2.6.19-5(FUJIは2.6.13)など若干の違いはあるが、前述した日本語環境やFirefoxやThunderbird、OpenOffice.org(2GBモデルは別途入手)といった主要アプリケーションは網羅されているので、デスクトップOSとして見ればほぼ同じ、といっていいだろう。

wizpyの起動画面

KDEコントロールセンターには、Turbolinux FUJIと同じバージョン名が確認できる

自分専用の携帯可能なLinuxデスクトップとして使えることがメリット

表: wizpyのメモリ領域

種別 説明
ブート領域 システムのブート領域。2 / 4GBモデルとも約16MB
ユーザ領域 Turbolinuxとして起動したとき/homeとしてマウントされる領域。空きサイズは4GBモデルで約500MB、2GBモデルで約350MB
プレイヤー領域 USBメモリとしてマウントされる領域。空きサイズは4GBモデルで約2.6GB、2GBモデルで約0.9GB
システム領域 wizpyのシステム(Turbolinux FUJI)が収録されている領域。2 / 4GBモデルとも約700MB