テナント全体の受信メール対応

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テナント全体のメールを条件で処理するルール

前回は、条件を設定してユーザーの受信メールを仕分けする方法を紹介しました。各ユーザーが、自分宛のメールに対して、自分で好きなように仕訳ルールを設定することができます。一方、Office 365では、ユーザー毎の受信メール処理以外に、テナント全体のメール処理のルールを設定できます。今回は、テナント全体の設定について紹介します。テナント全体に及ぶルールですので、設定できるのは管理者のみです。管理者ではない一般のユーザーが、こうしたルールを作成したり編集したりすることはできません。

Exchange管理センターを開く

ルールによってメールが処理される流れをメールフローと呼びます。テナント全体に対するメールフローのルールは、Office 365のメールサーバーであるExchange Onlineで設定します。Exchange Onlineの設定ページをExchange管理センターと呼びます。

(1) 管理者がOffice 365にサインインして、アプリボタンをクリックし、「管理者」をクリックしてください。Office 365管理センターを開きます。

(2) 左サイドメニューの下部から「管理者」→「Exchange」をクリックし、Exchange管理センターを開きます。

特定のキーワードを含むメールを複数のユーザーに配信

ここでは、業務の情報共有のために、特定のキーワード「鬼小十郎祭り」を件名または本文に含むメールを、そのメールが誰宛のメールかにかかわらず、関係者全員に自動的にBCCで配信する設定を例として紹介します。

(3) Exchange管理センターの左サイドメニューで「メールフロー」をクリックします。次に、メールフロー設定ページの上部にある「ルール」をクリックします。ルールの「＋」(新規作成)ボタンをクリックして、「ルールの新規作成」メニューをクリックします。「＋」ボタンでは複数のメニューが表示されますが、基本は「ルールの新規作成」です。それ以外のメニューは、よくある設定のテンプレートです。

(4) 「名前」に作成するルールの名前を入力し、「このルールを適用する条件…」から、「件名または本文に次の語句が含まれる…」を選択してクリックします。

(5) 条件判断のキーワードを入力し、「＋」(追加)ボタンをクリックします。

(6) キーワードが追加されたことを確認して、「OK」をクリックします。

キーワード入力と「＋」ボタンを繰り返し、複数のキーワードを登録することもできます。

(7) 「実行する処理…」から、「メッセージをBCCで送信する…」をクリックして選択します。

(8) 条件に合ったメールを配信する宛先をクリックして選択し、「追加->」ボタンをクリックして、リストに追加します。配信先全員を追加したら、「OK」をクリックします。

(9) 「保存」をクリックし、新規ルールを保存します。

なお、このルール作成ウインドウの左下にある「その他のオプション」をクリックすると、オプションの設定項目を表示します。たとえば、このルールを所定の期間だけ有効化する有効期間や、これ以降のルールを適用しないなどを設定できます。

(10) オプション設定項目が表示されたルール設定ページ。

(11) 新規ルールが登録された、ルール管理ページ。作成したルールを一覧表示します。各ルールの変更や削除は、対象となるルールをクリックして選択し、一覧上部のペン(編集)、ごみ箱(削除)等のボタンを使用します。複数のルールの優先順位を変更するには「↑」「↓」ボタンを使用します。

受信メールのサイズ制限を設定

もう一つの例として、受信メールに512KBのサイズ制限を設定してみます。受信メールが512KBを越えたとき、メールの受信を拒否し、送信者にはメールサイズの制限を超えている旨のメールを自動返信します。

(12) 新規ルールの作成で、「サイズによってメッセージをフィルタリングする…」をクリックします。

(13) メールサイズのルールに関するテンプレートが適用されたルールの新規作成ページが開きます。「テキストの入力」をクリックして、メールサイズの制限「512」を入力します。

(14) 「実行する処理…」から、「メッセージをブロックする…」→「メッセージを拒否してその説明を含める」をクリックし、メールの送信者に自動返信するメッセージ(メール受信拒否の理由等)を入力します。

(15)「保存」をクリックして、ルールを保存します。

(16) 512KBを越えるサイズのメールをこのOffice 365テナントのユーザーに送信すると、メールはブロックされ、送信者には受信拒否の理由を通知するメールが届きます。

※ Office 365のメールフローのテンプレートには、しばしば「権利」あるいは「RMS」という言葉が登場します。情報漏洩などのトラブルを防止する情報管理のシステムとして、Windows ServerやOffice 365に導入されているのが、データやメールにアクセスする権利を管理する「RMS」(Rights Management System)です。RMSはデータやメールを暗号化し、特定のユーザーだけが開けるようにしたり、テナント内でだけ、あるいは一定期間だけ開けるように利用範囲を制限したりできるシステムです。万が一、データが流出した場合に備えるセキュリティシステムと言えます。ただし、Office 365の契約プランによって、RMSのライセンスを含んでいるプランと、オプションで別契約が必要になるプランがあります。E3、E4、E5プランではRMSを含んでいます。それ以外のプランでは、アドオンサービスとして追加しなければなりません。

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