あらゆるモノがインターネットにつながることを意味するIoT(Internet of Things)。その関連用語を3分でわかるボリュームで紹介する本連載『3分でわかるIoT関連用語集』の第18回は、IoTとは切っても切り離せない「センシングソリューション」と、近年エッジコンピューティングとともに注目されている「フォグコンピューティング」のふたつを取り上げる。

  • 3分でわかる_2019年5月_センシングソリューションとフォグコンピューティング_1

センシングソリューション

まず、ひと言でセンシングといっても、IoTにおけるセンシングソリューションは、以下のように複数の要素の組み合わせからなることを知っていただきたい。

1)測定したい特性(圧力・位置・温度・加速度など)に適応するセンサーの選定・提供やカスタム化・パッケージの提供

2)周辺環境に対応した設置場所や方法などの提案

3)センサーが収集した情報を回収するネットワーク技術
(LPWA、3G?/?4G、Wi-Fiなど)

4)収集したデータの解析・提案

つまり、モノ(Things)側の非構造化データを、インターネットというデジタルデータ(構造化データ)に置き換える、その過程およびつなぎとして働いているのが「センシング」であるということだ。と書くと難しく聞こえるが、ちょっと周りを見渡すと、自動ドア、指紋認証、エアコン…など、センサーがいまやいかに生活に密着しているかがわかる。たとえば医療センサーなどを思い浮かべれば、生体情報が取得されてインターネットでモニターされたり解析されたりすることはイメージしやすいのではないだろうか。

あらためてセンサーを体系立ててみたときにその種類はいったい何種類くらいあるのだろうか。その分類を3つに大別したのが日立製作所の長野 敬氏が2017年に発表した論文である。長野氏は測定する現象別に物理センサー、化学センサー、バイオセンサーであると定義している。

さらに同論文では、「化学センサーはケミカルエレクトロニス、バイオセンサーはバイオエレクトロニスの進展により、今後の技術開発が期待される分野である。一方、 物理センサーの多くはデジタル化され、それに伴ってコモデティー化が進展しているものが多い。そのなかでひずみ量の計測は、本格的なデジタル化から取り残された領域であった。機械産業や土木・建築分野において応力計測には強いニーズがあるにもかわらず、継続使用に適するセンサーは存在しなかった」としているが、論文発表の2017年から2年たった現在、東京五輪を来年に控え、先の東京五輪(1964年)時に改装・開発が進んだ道路や建造物などの都市インフラの劣化を目の当たりにしてそのニーズはいよいよ高まっている。

参考:『センシング・ソリューションへの取り組み -1,000 万分の1世界が拓く新領域-(日本機械学会 IIP25周年記念市民フォーラム基調講演(2017.3.13)』

フォグコンピューティング

クラウド、という単語の浸透と共にその限界が語られ、エッジコンピューティングに加えて最近よく目にするようになったのが、「フォグコンピューティング」という単語だ。フォグ=Fog、つまり霧のこと。クラウドよりも近くて形状が似ているので、直感的には理解しやすい。ではエッジとの違いはなんだろう。

フォグコンピューティングもエッジコンピューティングも、処理をIoTデバイスのあるLAN内で行うところは変わりない。ただ、エッジコンピューティングの処理はよりデータソースに近く、ネットワーク内の各デバイスで実行されるのに比べ、フォグコンピューティングはLAN内のひとつのデバイスが複数のエンドポイントから情報を受けとり、それを必要とするところへ送り届けるという処理を行うのが異なっている。

集中的な処理を行うフォグコンピューティングは、エッジコンピューティングよりもスケーラブルであるといえるが、エッジコンピューティングはデバイスが独立しているため、単一障害点が少ないというメリットがある。


情報提供:アヴネット株式会社

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