ビジネスや生活にデジタルテクノロジーが浸透した現在、多くの企業や組織が先進技術の効果的な利用方法を模索している。特に昨今ではAI/ディープラーニングの活用がトレンドとなっており、トップダウンでAIの導入に取り組む企業も少なくない。とはいえ、AI導入のハードルはけっして低いとはいえないのも事実。AIで何ができるのかを理解するところから、適用する業務の選定、AIモデルの作成(学習データの収集)、推論環境の構築、継続的な運用と精度向上まで、やるべきことは多岐にわたる。

そこで本稿では、インテルが無償で提供しているAI推論ソリューション「インテル® OpenVINO™ ツールキット」に注目。インテル® Core™ プロセッサー・ファミリーなど同社のCPUやGPUの処理性能を活用することで高速推論を実現し、推論アプリケーションと環境構築を容易にする本ソリューションが、AI導入を検討する企業にとって極めて有効な一手となることを確認していく。

インテルが無償で提供する汎用的な推論エンジンが、AI導入のハードルを下げる

半導体を通じて、人々の仕事と生活を豊かにするための先進的な技術と製品を提供するインテルでは、AI/ディープラーニング(DL)の活用を促進するための取り組みを進めている。同社が無償で提供するOpenVINO™ ツールキットは、“AIアプリケーションの開発を手軽に始められる汎用的な推論エンジン”というコンセプトで開発された、エッジでの推論アプリケーション開発を大幅に効率化するソフトウェア・ソリューションだ。インテル製のCPU、GPU、VPU(ビジョン・プロセシング・ユニット)、FPGAを最大限に活用し、コンピューター・ビジョンをはじめ、自然言語処理や音声処理など多様なAIモデルで推論の最適化・効率化を実現する。

OpenVINO™ ツールキットを用いてAIアプリケーションの開発を行うことで、新たなハードウェアを追加することなく、高パフォーマンスな推論環境を構築可能。TensorFlow、PyTorch、Caffe、KALDI、mxnet、ONNXといった業界標準のDLフレームワークを使用した学習済みモデルを変換・最適化するモデル変換ツールを搭載し、シンプルなコード記述で動作するなど、まさに“汎用的”な推論エンジンとなっている。小容量のメモリ環境でも動作するため、インテル製のプロセッサーを採用したIoT向けの組み込み機器でも高速推論を実現。もちろん、より高い性能が求められるコンピューター・ビジョン用途ならば、インテル製ディスクリートGPU搭載カードを追加するという選択も有効だ。

豊富な動画コンテンツから効果的なAI活用イメージを把握する

開発者やデータ・サイエンティストを支援するソリューションとして提供されるOpenVINO™ ツールキットは、もともと映像や画像を取り扱うコンピューター・ビジョン用のアプリケーションを念頭に開発がされてきた。そして現在、コンピューター・ビジョン+AIの組み合わせは、製造・小売・物流・交通・医療など幅広い分野で活用が進んでいる。街や商業施設に設置されたカメラの画像から、人数や年齢・性別といった属性を分析したり、レジの混雑状況や商品棚の在庫を検出して業務の効率化や顧客体験の向上を図ったりと、その応用範囲は多岐にわたる。

OpenVINO™ ツールキットを用いて開発したアプリケーションでは、学習モデルの用意→モデル変換ツールでOpenVINO™ ツールキット形式(IR形式)に変換・最適化→OpenVINOコアライブラリで実行され推論を行う。開発者はOpenVINO™ツールキットが提供するAPIを使用することで、目的に合わせて自由に推論用アプリケーションを作成することが可能となる。さらにOpenVINO™ ツールキットでは、学習済みモデルの準備に必要なスキルや経験を持った開発者を十分に確保できない企業向けに、学習済みモデルを用意。人物検出やテキスト検出、車両検出、セグメンテーションなどさまざまなモデルが無料で提供され、高度なアプリケーションをすばやく構築することができるようになっている。

インテルでは、OpenVINO™ ツールキットの概要と実例を紹介する動画コンテンツを提供し、導入を検討する企業が活用イメージを掴みやすいようにしている。たとえば「OpenVINO™ ツールキットを用いた文字認識」という動画では、文字検出モデルと文字認識モデルの2つを用いて、与えられた画像のどこに文字があるかを検出し、そこから検出した文字の領域を読み取るという2段階で処理を行うOCRの実例を紹介。画像内にある文字をテキストデータ化する流れを確認できる。画像からテキストを抽出するという使い方だけでも、スキャンした文書をテキストデータで保存したり、道路標識の文字を認識したり、試合中に野球選手の背番号を判別したりと、幅広い用途での活用が考えられ、“AIで何をするのか”に悩んでいる企業にとって重要な“気づき”を与えてくれる。

インテル® OpenVINO™ ツールキット
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AI導入のハードルを下げるエッジAIリファレンス・キット

さらにインテルでは、OpenVINO™ツールキットを用いたエッジでのAI開発をサポートする「エッジAIリファレンス・キット」を用意。エッジAI開発のリソースがベスト・プラクティスとしてまとめられており、AIソリューションの開発を強力に支援している。

たとえば、店内の動画から並んでいる人を検出して人数をカウント、レジ待ちの状態を監視する「待機列管理アプリ」の開発では、OpenVINO™ツールキットの推論最適化とアクセラレーションで、リアルタイムの顧客インサイト、業務効率の改善、顧客満足度向上を実現し、小売店のレジプロセスを合理化する方法を「ソリューションの概要」として解説。さらに「技術の活用」という動画コンテンツで、待機列管理アプリのサンプルコードについての詳細を確認することができる。実際にサンプルコードを利用すれば、AIソリューション開発期間の短縮とコスト削減が図れ、AI導入のハードルを大幅に下げるリファレンス・キットに仕上がっている。

ソリューションの概要

技術の活用

多彩なコミュニティで情報を収集、開発の手助けに

まず紹介したいのは「OpenVINO Notebooks」だ。OpenVINO NoteBooksとは、Jupyter notebook形式のチュートリアルやデモが100近く公開されているGitHubレポジトリであり、Jupyterを用いて対話形式で試しながらOpenVINO™ツールキットの使い方や、モデル変換方法、モデル最適化方法などを学ぶことができるようになっている。また最新モデルを使用した高度なデモも数多く用意されている。これから開発される人も、いま開発をしている人も、是非一度チェックしていただきたい。

「OpenVINO Notebooks」はこちら

また、インテルのAIエキスパート・チームによるコミュニティサイト「Medium」でも、実環境のユースケースを含めてOpenVINO™ツールキットの活用方法が確認可能。さらにインテルの開発プラットフォームに関する開発者向けの最新技術情報や開発Tipsを発信するコミュニティである「Zenn」においても、ハウツーガイドを提供している。

「Medium」はこちら

「OpenVINO™を使用してクラウドのトレーニング済みモデルのパフォーマンスを最大限に引き出す」や「AI を活用して食品の無駄な廃棄を減らす」など興味深いコンテンツが満載で、こちらもAI導入の助けとなるはずだ。

OpenVINO™ツールキットの導入事例から“気づき”を得る

OpenVINO™ツールキットは、すでにグローバルで活用されており、日本においても導入企業は増加している。インテルのサイト(エッジAIリファレンス・キット)では、数多くの導入事例を紹介。CPU推論(Core i3 プロセッサー)で複数カメラからのストリーミング動画を処理するビル向けのモバイル監視ユニットに、OpenVINO™ツールキットを導入したMegh Computingの事例や、OpenVINO™ ツールキットで最適化されたコンピューター・ビジョンでレストラン運営のデジタル化に成功したPreciTasteの事例、さらに第13世代インテル® Core™ プロセッサーの組み合わせにより得られる効果が確認できるHellometerの事例など、さまざまな分野における事例からOpenVINO™ ツールキットの導入メリットを確認できる。

各社の導入事例

・Megh Computing は、AI 搭載ビデオ分析を使用して、オペレーションを最適化しています。

Megh Computingの事例はコチラ

・PreciTaste* は、AI を使用して、クイック・サービス・レストラン (QSR) の食品生産を正確に予測しています。

PreciTasteの事例はコチラ

・カメラ搭載ドライブスルー・メーターは、QSR が食品生産を最適化するのに役立ちます。

Hellometerの事例はコチラ

日本国内の導入事例についても、AIエッジによる外観異常判定システムで製造現場の省力化・効率化を実現した事例や、AI技術を搭載したカメラプラットフォームのソリューションで小売店舗内のデータを分析するなど、OpenVINO™ツールキットを用いて開発されたソリューションを紹介している。

国内での導入事例はこちら

AWL株式会社の事例はコチラ
株式会社FASTの事例はコチラ

ハンズオンやトレーニングセミナーも実施し、企業のAI導入を全方位で支援

ここまで解説してきたように、インテルがAI活用の門戸を広げるためのソリューションとして無償提供するOpenVINO™ツールキットは、AI導入に取り組む企業にとって見逃せないソリューションといえる。インテルでは、OpenVINO™ツールキットに初めて触れるという開発者向けに、ステップ・バイ・ステップで学べるトレーニング・プログラムである「初めてのOpenVINO™ツールキット・ハンズオン」を展開。Webサイトのフォームから登録すると、OpenVINO™ツールキットの概要と環境構築について学習できる。オンデマンドのハンズオン・トレーニングや、インテルのエキスパートに直接質問できるライブ・トレーニングなどのプログラムが利用可能だ。

初めてのOpenVINO™ツールキット・ハンズオン
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さらにサンプルプログラムによるデモを通じて、OpenVINO™ツールキットを用いたアプリケーション開発が学べる無料セミナー「OpenVINO™ツールキット・トレーニング」も定期的に開催するなど、AIアプリケーション開発を全方位で支援している。インテル製品を効果的に活用し、AI活用の成果を最大限に享受したいのならば、OpenVINO™ツールキットの導入を検討する価値は大いにあるはずだ。

関連リンク

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