異常気象がもはや“通常気象”とも呼べそうな形で自然災害が多発し、それに伴い停電も多く発生している。その一方で、DX化の波はいまやあらゆるところへ及んでおり、それは地方自治体においても例外ではない。これまで窓口で直接、あるいは紙を介して行う作業が基本だったが、自治体DXの声がけのもとでデジタル導入が進み、その光景は大きく変わり始めた。となれば自治体側としても、デジタル化したシステムが停電の影響で利用できなくなり、住民サービスが途絶えてしまうリスクを想定しなければならないだろう。本記事では「DX化」と「自然災害の多発」という自治体が直面する2つの現象のはざまで、どのようにすれば業務を安定的に継続できるのか、そのソリューションを探る。
広がる一方の自治体DX化。停電したらはたしてどうなる?
地方の役所・役場では、従来は紙の書類を多用し、アナログ作業で業務をこなすのが当たり前だった。しかし近年はDXへの意識が高まり、行政手続きのオンライン化をはじめ電子化が推進されている。そこにマイナンバーカードの普及が加わり、様々な業務においてデジタルで対応する場面が一気に増えてきた。
背景には、デジタル国家を目指す国主導の動きやデジタルを活用した地方再生・活性化、カーボンニュートラル・脱炭素社会の実現に向けたグリーン by デジタル戦略といった大きな未来図があるほか、少子高齢化時代に対応するためのデジタルによる業務効率化や、人手不足の中で職員が働きやすい環境を用意することも喫緊の課題となっている。デジタル化、さらにその先の自治体DXは、もはや選択肢ではなく進まなければならない道ともいえる。
自治体業務のDX化で根幹をなすのはオンプレミス・クラウド双方のITシステムであり、データである。そしてITシステムを駆動するにも、データを保存し管理・活用するにも、当然ながら電気が必須。ということは、停電などによって電気が途絶えると自治体業務が機能しなくなり、“何もできなくなる”わけである。さらには、重要なデータを保存しているサーバーが突然の停電に遭遇すると復旧に長い時間を要し、最悪のケースではデータが破損してしまう危険すら考えられる。そうなれば、もはや役所・役場が社会基盤として成立しない状態となるだろう。
この「電気が途絶える」事態として近年増えているのが、誰もが想像のつく通り、自然災害で発生する停電である。いま、気候が大きく変わってきている。そのため同じ地域での長時間の豪雨や、記録的な暴風が頻繁に発生し、土砂崩れ、倒木などを呼び起こすことで、電線が断線し停電につながってしまう。2019年の台風で千葉県内の送電鉄塔が倒壊した映像は、いまでも多くの人の脳裏に焼き付いているに違いない。また、日本はいわゆる地震大国であり、大地震で停電が発生するケースもよく見られる。
電気が途絶えても行政サービスを止めないバックアップの考え方とは
停電からの復旧は、かつては数時間で済むことが多かったものの、いまは数日、場合によっては1週間近く復旧しないケースもある。しかもこれらはけっして数十年に一度のレアケースではなく、実際に日本国内で毎年発生しているのはご存じのとおりだ。
もちろん、自治体でも一定の停電対策は実施している。電力会社から受ける電気が途絶えたときのために、バックアップとして非常用自家発電設備を用意していることだろう。ただ、停電が発生し、非常用自家発電設備が起動して各設備に給電を始めるまでには数分の時間的空白がある。つまり、その間は庁舎内のサーバーにあるシステムやデータを利用できず、ネットワークが止まればクラウドにあるシステムも使えない状態になってしまう。
そんなときに活躍するのが、UPS(無停電電源装置)だ。UPSは停電・電圧低下といった電源トラブルが発生したときにも、電気を安定して供給する設備である。UPSがあれば、想定外の停電時であっても電気の供給を継続し、行政サービスを停滞させずに済むわけだ。 これまでにも都道府県庁や政令指定都市といった規模が大きな自治体では、UPSによる電源のバックアップ対策を実施しているところが多いかもしれない。しかし政令指定都市以外の市町村では、停電のリスクは理解しつつ、運用管理に関わる人員不足や予算の問題でUPSでバックアップしている設備が必要最低限に限定されているところも少なくないだろう。
ここまで見てきたように、自然災害が過酷化の様相を見せている現在、停電による業務停止やデータ喪失のリスクはいつ現実のものになるかわからない。万が一の際にも行政サービスを止めないように、UPSの見直し・新規導入に向けて検討を始めるのがいいのではないか。
それも、DX化が庁内全体に広がることで、UPSでカバーすべき範囲も広がっていると考えられる。つまりこれからは部分的にではなく、すべてのデジタル化設備に対してUPSを用意し、不測の事態に備える必要性がこれまで以上に高くなっていくといえる。
UPSは導入後の運用保守こそが真のハードルとなる
とはいえ、前述のとおりほとんどの自治体は人手不足に悩んでおり、IT専任担当者がおらず総務が他の設備と合わせて管理を担っている場合もある。実はUPSは、導入すれば終わりではなく、安定稼働のためには導入後の運用管理や保守がきわめて重要な設備だ。たとえばバッテリーが劣化していると、いざというときにしっかり給電してくれないことも考えられる。
しかもUPSの運用や保守には専門知識も必要だ。だからといってインフラに詳しい人材を積極的に採用するのは現実的に難しい。つまり、現状の自治体の人員のみで万一に備えUPSの運用とメンテナンスを完璧にこなすのは、かなりハードルが高いということになる。それでは、どうすべきか。ここで提示したい選定に向けての最大のポイントは、運用保守サービスまでしっかり提供してくれるUPSを導入することだ。
選定に際し、まずUPSによる電源バックアップが必要な範囲の見積もりが求められる。とはいえ今後DX化が進むにつれて必要なUPSも増えていく可能性があるため、当初からある程度余裕を見越して導入しておくほうが、あとからこまめに追加していくよりもコストを低く抑えられるだろう。ただし、この導入範囲に加えてニーズに合ったUPSの容量や機能なども、自治体だけで考えるのは難しい部分があるため、メーカーやベンダーに相談するのがいいかもしれない。
運用保守サポートと信頼の製品・サービスが魅力のUPSソリューション
現在、UPSは国内・海外のさまざまなメーカーが発売している。その数あるUPSの中で、ここで注目したいのは三菱電機のUPSだ。
三菱電機はUPSで国内トップクラスのシェアを持ち、UPS事業を始めて60年という長期間の実績を有している。業界において高い信頼性と安心感がある企業だ。加えて、何より上に掲げた運用面の課題に対してしっかりした運用保守サポートを提供してくれる。保守を担うサービス拠点が全国各地に展開しているため、迅速に対応できるのが大きな強みだ。さらにはオプション契約により、24時間の遠隔監視サービスも提供される。これは故障や不具合があった際にUPSが自動でアラートを発信するものだ。遠隔監視サービスを利用すれば、UPSの状態をサービス拠点側でも把握できるため、職員がその不具合の状況等を説明する必要もなくなる。そのため迅速な設備復旧が期待できるのだ。つまり、最小限のリソースでUPSを維持できるうえ、「故障でいざというときに使えなかった」という不測の事態も避けることができる。
もちろんUPSの製品自体も、高い技術力に基づく信頼性を誇る。長寿命の部品を採用しており、部品交換を減らせるためランニングコストの部分でメリットを強調できる。国内に製造拠点を構え、ほとんどの部品を国内で製造しているからこそ、いざというときの部品の取り寄せもスムーズだ。長い歴史に裏打ちされたラインナップの豊富さも特長で、小容量から大容量まで多種多様な機種を用意。ニーズに応じて柔軟なシステム提案ができるところもアドバンテージといえるだろう。
三菱電機はサステナビリティの実現を経営の根幹に据え、事業を通じた社会課題解決を推進している。自治体のDX化や地方再生、もちろんカーボンニュートラルも含めた様々な社会課題の解決に、電源ソリューションの提供によって貢献していく考えだ。もしものときに行政の役割をストップさせないUPSもそのひとつ。まだUPSを導入していない自治体は、三菱電機のUPSを一度検討してみてはいかがだろうか。
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