前回から、ビジネスシーンで活用する機会が多い請求書を、Power Automateで自動生成する方法を解説している。前回は、サンプルとしてMicrosoft Excelの請求書テンプレートファイルをダウンロードし、体裁を整えるところまで説明した。今回は、実際にPower Automateで請求書の値を自動入力する方法を取り上げていく。

請求書テンプレートの入力セルを確認

まず、前回整理した請求書テンプレートファイルを確認し、どのセルに値を入力すればよいかをまとめておこう。

  • 請求書テンプレート

    請求書テンプレート

上記テンプレートファイルの場合、次のセルに値を入力していけばよいことになる。

セル 内容
D2 日付
D3 請求書番号
D4 請求内容
D5 請求先企業名
D6 請求先担当者名
D7 請求先郵便番号
D8 請求先住所
D9 請求先電話番号
B11 請求項目その1
D11 請求金額その1
B12 請求項目その2
D12 請求項目その2

請求項目が多ければさらにB13、D13やB14、D14と下の行のセルへ値を追加しよう。

Microsoft Excelのセルに値を自動入力する

まず、前回作成したフローを「請求書作成 その2」としてコピーする。

  • フロー「請求書作成 その2」

    フロー「請求書作成 その2」

ここに新しいアクション「Excelワークシートに書き込む」を追加する。

  • アクション「Excelワークシートに書き込む」を追加

    アクション「Excelワークシートに書き込む」を追加

次のようなダイアログが起動するので、セルの場所(D2)をそれぞれ列(D)と行(2)に分けて入力する。D2は日付が入力されるので、書き込む値として日付を書く。

  • 「Excelワークシートに書き込む」を編集

    「Excelワークシートに書き込む」を編集

アクションを追加した後のフローは次のようになる。

  • 編集後のフロー

    編集後のフロー

このフローを実行すると次のようなMicrosoft Excelが表示される。

  • フロー実行後に表示されるMicrosoft Excel

    フロー実行後に表示されるMicrosoft Excel

日付の項目に設定した値が入力されていることを確認できる。

Power AutomateではこのようにExcelのセルへ任意の値を自動入力することができる。基本的にはこのアクションを繰り返していけば請求書が完成する。まず今回はこの方法で請求書を自動的に作成してみよう。

Microsoft Excelのセルに値を自動入力する (続き)

先ほどの続きだ。「Excelワークシートに書き込む」アクションをセルごとに追加していく。

  • 請求書番号の入力

    請求書番号の入力

  • 請求内容の入力

    請求内容の入力

  • 請求先企業名の入力

    請求先企業名の入力

  • 請求先担当者名の入力

    請求先担当者名の入力

  • 請求先郵便番号の入力

    請求先郵便番号の入力

  • 請求先住所の入力

    請求先住所の入力

  • 請求先電話番号の入力

    請求先電話番号の入力

  • 請求項目その1の入力

    請求項目その1の入力

  • 請求金額その1の入力

    請求金額その1の入力

  • 請求項目その2の入力

    請求項目その2の入力

  • 請求項目その2の入力

    請求項目その2の入力

アクションを追加した後のフローは次のようになる。

  • アクションを追加したあとのフロー

    アクションを追加した後のフロー

  • アクションを追加したあとのフロー

    アクションを追加した後のフロー

単純な作業だが、最初はこのようにアクションを追加してみよう。

実行して動作を確認

このフローを実行するとExcelが起動し、作成したアクションの順にセルへ値が入力される。完了すると、アクションで設定した値が全て入力されたことが確認できる。

  • フローの実行後に値が入力された状態の請求書

    フローの実行後に値が入力された状態の請求書

請求書テンプレートに関数が組まれていれば、次のスクリーンショットのように請求金額の合計値や消費税なども自動計算で表示される。

  • 合計値や消費税も計算されていることを確認

    合計値や消費税も計算されていることを確認

全体像は次のようになる。

  • 作成された請求書を確認

    作成された請求書を確認

ここから先が効率化

上記の作業はPower Automateの機能を確認するためのようなもので、これだけでは自動化による業務効率の改善効果はあまりない。

請求書のテンプレートが請求先から送られてくるようなケースにおいては、この処理だけでも自動化と効率化が可能だ。毎月送付されている請求書ファイルに対してPower Automateのフローを実行して値をはめ込み、請求書を仕上げられる。

一方、自社で請求書を作成する場合には、請求書に入力するデータを別のMicrosoft Excelにまとめ、Power Automate実行時にそのファイルを選択してデータを使うフローを組む。そうすれば請求業務に使っているMicrosoft Excelのファイルはそのままに、そこから請求書を自動的に作成できるようになるはずだ。

このような仕組みにしておくと、1つの請求書テンプレートファイルから、さまざまな企業向けの請求書を作成できるようになる。次回からはその方法を紹介していく。