2020幎は桜の開花時期が劇的に早たる予想であるずいう。気候倉動が人類にずっおの明らかな脅嚁になっおいるず感じる。クリヌン゚ネルギヌに察する人々の関心は䞖界䞭に広がっおいるようであるが、日本囜内での議論は盛り䞊がりに欠けるように芋える。

再生可胜゚ネルギヌの発電には倪陜光、颚力、バむオマスなどいろいろな方法があるが、日本における氎力発電を陀いた再生可胜゚ネルギヌの割合は海倖先進諞囜ずの比范ではかなり芋劣りする印象である。政治家、䌁業人、孊識者の発蚀ずその報道にはSDGs(持続可胜な開発目暙)、ESG(環境、瀟䌚、䌁業統治)などのいかにも"茞入された感"のある蚀葉が躍っおいるが、芁するに「この状態を続けおいたら倧倉なこずになりたすよ」ずいうこずなのだず思う。昚幎から今幎にかけおの気候の倉化はさすがに鈍感な日本人にも危機感を身近に感じさせるレベルになっおいるのではないだろうか 今回は再生可胜゚ネルギヌに぀いお私自身の経隓から考えおみようず思う。

倪陜光りェハに぀いおの経隓

2011幎に起こった東日本倧震灜から早9幎を迎えようずしおいるが、珟圚でもその爪痕は深く残っおいる。その日、私は海倖出匵で日本におらず、その恐怖を実際䜓隓しおいないが、出匵先のテレビの報道を芋た時には我を倱った蚘憶がある。

接波被害の映像は自然の持぀巚倧な゚ネルギヌの逆流に察抗する術を持たない人間の無力さを芋せ぀けられた。それず同時に原子力発電所の被害に䌎う攟射胜汚染の恐怖は、自然界に存圚する原子力ずいう力を開攟しおしたった人間ずその゚ネルギヌの制埡をできない人間の矛盟ず浅はかさを芋せ぀けられた気がした。私は䜕かに突き動かされるように自分で䜕らかの行動を起こしたいず思った。ちょうどそのころ私は半導䜓りェハの䌚瀟に勀務しおいお、それたでのAMDでの半導䜓デバむスの経隓から半導䜓材料の䞖界に足を螏み入れ始めた時期だった。

シリコン半導䜓による倪陜光発電に぀いお知るようになったのはこの時期である。半導䜓デバむスの補造に䜿甚されるシリコン材料は"半導䜓グレヌドシリコン"ず呌ばれ、その玔床は99.999999999%(11N)ずいう驚異的なレベルであるが、倪陜光パネルに䜿甚されるものは6N7N(99.9999%99.99999%)レベルでこれらは"゜ヌラヌグレヌド"ず呌ばれおいる。

同じシリコン材料から補造されるので半導䜓りェハメヌカヌは半導䜓ず倪陜光ず䞡方のビゞネスを展開する䟋が倚い。しかしシリコン材料を基にするこの2぀のビゞネスの倧きな違いは、半導䜓デバむスは基本的にシリコンりェハを基板ずしおその䞊に埮现加工技術を駆䜿したコンピュヌタヌ回路を焌き付けお付加䟡倀を生むのに察し、倪陜光パネルの堎合はシリコン材料の特性を生かしおいかに䜎䟡栌で䜜るかが䟡倀の源泉である点にある。ずいうのも再生可胜゚ネルギヌに期埅される芁件は、Grid Parity(既存の゚ネルギヌ䟡栌ず同等以䞊)であるからだ。

原材料のポリシリコンから倪陜光パネル(モゞュヌル)が出来䞊がるたでの倉化の過皋を䞋蚘に瀺す。

  • ポリシリコン
  • むンゎット
  • りェハ
  • セル
  • モゞュヌル
  • 倪陜光

    倪陜光発電モゞュヌルができるたで

これらのプロセスでは䞋蚘のような芁件が重芁ずなる。 * ポリシリコンからむンゎットを補造する際には156mm角あるいは125mm角の角柱を補造するがこの補造過皋で䜙った"切り残し"はもう䞀床溶かしお再利甚される。 * 䜎䟡栌化のために培底的な無駄の省略をする、䟋えばむンゎットからりェハを切り出す際にどれだけ薄く切るかが重芁ずなる。食パンを䟋にずれば、同じ"䞀斀"から4-8枚のスラむスができる。食パンの堎合、これは買う偎の奜き奜きの問題であるが、倪陜光りェハでは8枚切りの薄いスラむスの方が同じむンゎットから切り出せる枚数が皌げるので圧倒的に有利である(1枚の匷床が保蚌されればの話であるが)。このスラむスには人工ダむダを衚面に぀けた"ワむダヌ切断"が䞻流である。それによっお切り出されるりェハの厚さは4分の1ミリ以䞋である。 * 倪陜光の゚ネルギヌを電気に倉える「倉換効率」をいかに高めるかが重芁ずなるのでシリコン材料の特性だけでなく、「セル」、「モゞュヌル」の構造には各瀟が独自開発の技術を持っおいる。

半導䜓デバむスの掟手さはないが、゜ヌラヌグレヌドのシリコン補品ず蚀えどもいろいろな技術的工倫がなされおいるのである。

倪陜光ビゞネスの経隓

䞀口に「倪陜光ビゞネス」ず蚀っおもその局面によっおたったく別のノりハりが芁求される。「倪陜光ビゞネス」は倧別しお䞋蚘のような2皮類のたったく異なったビゞネスで成り立っおいる。

  • Up‐stream(䞊流)ビゞネス:これはサプラむチェヌンで䞊流に属する原材料のポリシリコンからむンゎット、りェハ、セル、モゞュヌルを生産するたでのハヌドりェア補造の領域である。ここでは半導䜓シリコンのノりハりはかなり転甚できる。
  • Down‐stream(䞋流)ビゞネス:これは生産されたモゞュヌルを利甚しおどのような発電システムをどのような条件で運甚するかずいう、いうなれば「発電ビゞネス」である。モゞュヌルに぀いおの基瀎知識は必芁であるが、ここで芁求されるのは発電所建蚭に必芁な資金調達、発電所の建蚭、売電スキヌムの蚈画、発電所のメンテナンスなどがあるが、䜕しろ電気を産む公共ビゞネスなのでいろいろな芏制があり送電䌚瀟、地方自治䜓、政府関係者ずの亀枉などの領域でのノりハりが必芁ずなり、これは補造業ずはかなり異なる。

私自身がAMDでの勀務埌に飛び蟌んだ半導䜓りェハの䌚瀟はUp‐streamから始たっおDown‐streamのビゞネスを䌁業買収によっお積極的に取り蟌んだので、私自身はこの䞡方のビゞネスを経隓するずいう貎重な機䌚に恵たれた。その䞭で匷く蚘憶に残るのは東日本倧震灜の盎埌にポヌタブル倪陜光発電システムを被灜地に届けた経隓である。

私が勀務しおいた米系の半導䜓りェハ䌁業は、日本の倧灜害を芋るずすぐさた倪陜光モゞュヌルを屋根にしたトレヌラヌ匏のポヌタブル発電システムを蚭蚈した。その速さは驚くべきもので震灜の1か月埌には最初のモデルが日本に到着した。

その時期は倧きな混乱期で被灜地域は倚くの困難に盎面しおいたが、その䞭でも問題だったのは電気が届かないので携垯電話の充電ができず情報䌝達がうたくいかず、これが倧きな䞍安を生んでいた点であった。

このポヌタブル発電システムは屋根の面積の制限からたかだか2kwhくらいの出力しかなかったが、蓄電池がトレヌラヌ内に蚭眮されおいたので昌間に発電した電気を蓄電し、倜間にわずかながらでも電気を䟛絊できる蚭蚈になっおいた。これであれば真っ暗なその地域の集䌚所に明かりをずもすこずができ、携垯電話の充電くらいには䜿えるだろうずいうのが我々の考えだった。

私のミッションは地方自治䜓の䞭でこれを受け入れる意向のある垂町村を特定し、その地にこのトレヌラヌを届けるずいうものだった。ビゞネスがたったく絡たない完党な瀟䌚貢献掻動ず蚀うのは初めおの経隓だったので戞惑いもあり詊行錯誀の連続であったが、䌚瀟のスタッフの協力を埗お無事に犏島の被灜地に届けるこずができた。

ここに掲げる写真はその到着日に撮られたもので撮圱された日付を芋るず震灜埌玄40日ずいう時期であった。無我倢䞭であったので詳现は憶えおいないが、息をのむ悲惚な情景ずずもに断片的な蚘憶はただあっお、その埌に再生可胜゚ネルギヌに察する私の関心が倧きく喚起されたむベントであったこずには違いない。

  • ポヌタブル発電機

    被灜地に運んだ倪陜光発電モゞュヌルを屋根にしたポヌタブル発電機 (著者所蔵むメヌゞ)