富士フイルムビジネスイノベーションの関連会社を中心に、富士フイルムグループのうち8社が2023年10月にオフィスを西新宿にある住友不動産新宿ファーストタワー(10階~17階)へと移転した。約2100人の社員・スタッフがここで新たに働き始めるという。

新オフィスでは「Activity Based Working」を導入して業務の効率化を進めると同時に、使用電力の削減と再生可能エネルギーの活用によってカーボンニュートラルにも挑戦している。そんなオフィスのコンセプトは「FACEs」。異なる職種の多様な人材が集まりコミュニケーションが生まれる様子を示しているそうだ。

本稿ではそんな新オフィスでActivity Based Workingを実現するための工夫と、コミュニケーションを生み出す取り組みについて紹介したい。

  • 新オフィスに掲げられたロゴ

    新オフィスに掲げられたロゴ

  • エントランスにはグループ企業の製品が並ぶ

    エントランスにはグループ企業の製品が並ぶ

誰もが働きやすいオフィス作り

新オフィスに本社機能を移すのは、富士フイルムサービスクリエイティブ、富士フイルムデジタルソリューションズ、富士フイルムプリンティングシステムズ、富士フイルムシステムサービス、富士フイルム ヘルスケア ラボラトリー。また、富士フイルムホールディングス、富士フイルムビジネスエキスパート、富士フイルムビジネスイノベーションジャパンの一部機能が入居する。

今回の移転では、特にバックオフィス業務に従事するスタッフが多く入居するそうだ。関連するグループ会社を集めることで、スタッフ間の連携とコミュニケーションの向上を狙う。それと同時に、派遣社員や期間雇用の社員も含めて誰もが働きやすいオフィスとすることで、優秀な人材の獲得につなげたい考えもあるという。

  • 新オフィスには8社7拠点が終結した

    新オフィスには8社7拠点が終結した

新オフィスのコンセプト「FACEs」に込められた思い

新オフィスのコンセプトである「FACEs」は、FUJIFILM Active Communication for Engagement & Synergyの略。さまざまな職種の多種多様な人が集まり、活発なコミュニケーションが社内外のつながりを広げて相乗効果を生み出すようなオフィスを目指す。

顔や面、向かい合うといった意味を持つ「FACEs」という略称にも、そうした思いが込められている。ちなみに、他拠点に勤務する社員がサテライトオフィスとしても利用できる。

FACEsでは、多様な人材のつながりをカラーリングで表現している。赤やマゼンタは「情熱・決断力・エナジー・自信」、橙やイエローは「社交的・思いやり・幸福感・クリエイティブ」、青やシアンは「集中力・コミュニケーション・信頼・清潔感」といった具合だ。内装や家具もこれらの色を取り入れている。

  • イエローを床面に取り入れた会議室

    イエローを床面に取り入れた会議室

  • こちらの会議室は青を基調としている

    こちらの会議室は青を基調としている 写真提供:富士フイルムビジネスイノベーション

また、それぞれの色のつながりと広がりを、「F」の文字をモチーフとしたロゴで表現している。

  • 「F」をかたどったロゴ

    「F」をかたどったロゴ

社員が誰でも使える共有エリアとして、16階にコミュニケーションラウンジ「F's ラウンジ」を開放している。個人で集中したい場面やチームでのミーティング、社員同士のランチなど、好みに応じて利用できるという。このF's ラウンジにもFACEsの特徴的なカラーリングが取り入れられている。晴れている日は、ラウンジの窓から富士山が見えるそうだ。

  • F's ラウンジ

    F's ラウンジ 写真提供:富士フイルムビジネスイノベーション

  • ミーティングにも活用できるブース

    ミーティングにも活用できるブース

  • FACEsの色を散りばめている

    FACEsの色を散りばめている

グリーンを"ペットのように"愛でるオフィス

10階から16階の執務エリアにもFACEsの色をあしらい、誰もが効率的に自分らしく働けるような環境作りを支援している。個人個人の座席は固定せず、おおまかに各部署がゆるくつながる「ネイバーフッド」を導入している。また、個人で集中できるブースやミーティング用のスペースも複数設置しているため、業務内容に応じて好きな席に移動して働ける。

  • 各階の執務エリアにもFACEsの色が取り入れられている

    各階の執務エリアにもFACEsの色が取り入れられている

  • 一人で集中するためのブース

    一人で集中するためのブース

執務エリアで特徴的な取り組みの一つが、「PET GREEN(仮称)」だ。これは、手のひらサイズの植木ポットを自由に選び、その日に仕事をする席や会議室などに連れていくというもの。緑の植物が目に入ると、気分転換にもなりそうだ。いつも一緒に働いてくれるお気に入りの植物には、次第に愛着も湧くだろう。

  • PET GREEN(仮称)の様子、ここから好きなポットを持っていく

    PET GREEN(仮称)の様子、ここから好きなポットを持っていく

執務エリアのオフィス家具の多くは、あえて固定せずにキャスターで移動できるようにしている。人数の増減や組織変更などに合わせて、自由にレイアウトを変更できる空間としているそうだ。ポータブルバッテリーから電源を取れる工夫を施しているあたりからも、業務に応じた自由な移動を促す工夫が見える。

  • 執務エリアの風景

    執務エリアの風景

  • ポータブル式のバッテリーを複数備えている

    ポータブル式のバッテリーを複数備えている

F's ラウンジのように、オフィス内の移動やコミュニケーションを促す工夫は他にも見られた。その一つがコーヒーマシン。11階と13階に設置されたコーヒーマシンは、それぞれ中身が異なっているため、気分や好みに合わせてフロアを移動するよう工夫が凝らされている。これにより、偶発的なコミュニケーションも生まれるだろう。

  • コーヒーマシン

    コーヒーマシン

今回うかがった富士フイルムBIらのオフィスは、業務の内容や気分に合わせて働く環境を変えられるという、出社して働くのが楽しみになるような空間だった。筆者は何よりPET GREEN(仮称)の取り組みに心を奪われてしまったので、まずはマイナビニュースTECH+編集部の筆者の席にも緑を取り入れてみようと思う。