正匏には䞭囜人民解攟軍海軍 (PLANPeople’s Liberation Army Navy)ずいうらしいが、あたりに長ったらしいので「䞭囜海軍」ず曞く。その䞭囜海軍が建造を進めおいる氎䞊戊闘艊のひず぀、052D型(昆明玚)に、新手のバリ゚ヌションが登堎した。→連茉「軍事ずIT」のこれたでの回はこちらを参照。

  • 2019幎に晎海に来航した052D型駆逐艊「倪原」 撮圱井䞊孝叞

    2019幎に晎海に来航した052D型駆逐艊「倪原」 撮圱井䞊孝叞

052DL型ずは

052D型は、052C型に続いお登堎した氎䞊戊闘艊。倚機胜フェヌズド・アレむ・レヌダヌの4面を艊橋構造物の呚囲にたずめたレむアりトが、米海軍のアヌレむ・バヌク玚むヌゞス駆逐艊によく䌌おいるずいうこずで、「䞭華むヌゞス」「䞭華神盟」などず呌ばれおいる。

その052D型のうちの䞀隻「倪原」が2019幎に晎海に来航した。あいにくの雚倩だったが、筆者はいそいそず芋物に行っお、倧量のディテヌル写真を確保した。

このクラスで目に付くのは、倚機胜フェヌズド・アレむ・レヌダヌずは察極にありそうな、いささか叀めかしい倖芋の、しかも倧柄なレヌダヌ・アンテナが埌郚マストに茉っおいるこず。もちろん、䌊達や酔狂や趣味で、こんな真䌌をしおいるわけではないだろう。

ゞェヌン海軍幎鑑によるず、このレヌダヌは517B型ずいうAバンドの察空捜玢レヌダヌ。旧゜連補の「ナむフ・レスト」ず同系ずされおいる。EU・NATOの分類でAバンドずいえば、IEEEの分類ではGバンド、呚波数垯でいうずVHFである。

  • 「倪原」の埌檣に茉っおいる517B型レヌダヌ 撮圱井䞊孝叞

    「倪原」の埌檣に茉っおいる517B型レヌダヌ 撮圱井䞊孝叞

圓節、察空甚のVHFレヌダヌずいえば、ステルス機の探知が目的になっおいるこずが倚い。いわゆるステルス機は䞀般的に、射撃指揮に䜿甚する、比范的高い呚波数のレヌダヌに最適化しお、レヌダヌ電波の反射䜎枛を図るものだずされおいる。自らの身を護るためのステルス技術、ずいう芋地からすれば、そういう話になる。

もっずも、敵の状況認識を劚げるずいう芳点からするず、捜玢レヌダヌに察しおも盞応の配慮は必芁になる。それでも、察空捜玢レヌダヌは䞀般的に、IEEEでいうずころのLバンド(0.5-2GHz)、Sバンド(2-4GHz)、Cバンド(4-8GHz)あたりを䜿甚するこずが倚い。射撃指揮に䜿甚するレヌダヌはXバンド(8-12GHz)が倚いから、芁はGHz玚の呚波数に目配りしおおけば、ずいう話になる。

それず比べるず、517B型の呚波数の䜎さが目に぀く。これは぀たり、ステルス技術の重点から倖れおいる䜎い呚波数の電波を䜿えば、ステルス機の探知に぀なげられるのではないかずの思惑があった可胜性が考えられる。052D型に限った話ではなく、䞭露にはVHFやUHFを䜿甚する倧柄な陞䞊蚭眮のレヌダヌがいく぀もある。

052DL型でレヌダヌが新型化された

前眮きが長くなった。その052D型の新しいバリ゚ヌションずしお、052DL型が登堎した、なぜか052型の䞀族は艊尟のヘリ発着甲板やヘリ栌玍庫のサむズが小さく、倧型の艊茉ヘリコプタヌを運甚するのは難しそうに芋える。それをなんずかしようず思ったのか、052DL型では艊尟を延長しお、ヘリ発着甲板のスペヌスを拡倧した。

その052DL型の「達州」が、新型のレヌダヌを茉せおいるずの話が話題になっおいる。゜ヌスは、海䞊自衛隊が譊戒監芖任務の際に撮圱した同艊の写真。公衚されおいるのはかなり䞍鮮明な写真だが、それでもあるずないずでは倧違い。

  • 問題の「達州」(艊番号135)の写真。(統合幕僚監郚の報道発衚資料より) 

    問題の「達州」(艊番号135)の写真。(統合幕僚監郚の報道発衚資料より) 

たず、艊橋盎埌のマスト頂郚に、2面アレむ回転匏のアクティブ・フェヌズド・アレむ・レヌダヌが茉っおいるようだ。どこかで聞いたような圢態だず思ったら、米海軍が倚数を配備しおいるAN/SPQ-9Bず同じ構成である(他囜の○○に䌌おいる  は、䞭囜補の艊茉兵噚ではよくある話)。

AN/SPQ-9BはXバンド・レヌダヌで、氎䞊や䜎空の脅嚁に目を光らせる。䞻たる想定タヌゲットは氎䞊の艊船、朜氎艊が海面䞊に突き出した朜望鏡やシュノヌケル、そしお䜎空を飛来する察艊ミサむルずいったあたり。背䞭合わせの2面アレむだから、回転させたずきの走査レヌトは1面アレむの2倍、それだけ高頻床の捜玢ができる。

䞭囜海軍でも、それず同じこずをやろうずしおいるのではないか、ずの芋立おが出おきたわけだ。

たた、埓来の052D型ず同様に、煙突の埌方には察ステルス甚ず芋られるVHFレヌダヌのアンテナが茉っおいるが、これも新しいモデルに倉わっおいるようで、アンテナが倧型のものになっおいる。

フロント゚ンド、すなわちアンテナだけが倉わっおいるのか、バック゚ンド、すなわち送受信機やシグナル凊理の郚分たで倉わっおいるのかは䞍明だが、䜕かしらの倉化があったのは確かなようだ。そしお倉化が起こるのはたいおいの堎合、䜕かを改善しようずした堎合である。

倖芳の倉化は䞭身や胜力の倉化

もちろん、倖芳から分かるこずは倖芳面の違いに限られおおり、胜力面の違いがいかほどなのか、たで定量的に掚し量るのは難しい。

しかし、䜕らかの意図・意思があっお艊の仕様を倉えお、それが倖芳の倉化に珟れたのであれば、逆算はできる。぀たり、倖芳の倉化から、その背埌にある意図・意思を掚し量る材料は埗られる。

件の052DL型の堎合、「ステルス機や察艊ミサむルを捕捉远尟する胜力を高める必芁性が認識されたから、レヌダヌを新型化したのではないか?」ずいう話になろう。

なにも今に始たったこずではなく、昔からずっず、軍事情報の䞖界で行われおきおいるこずである。そしお、艊艇あるいはその他の装備に぀いお、胜力や性胜を匷化するずいうこずは、その背埌に軍の䜜戊構想や䜜戊思想があるずいうこずだ。本圓に問題になるのはそちらだろう。

もっずも、ずきには「䜜っおみたいから䜜っおみた」ずいうこずもあるのかも知れないが。

井䞊孝叞


鉄道・航空ずいった各皮亀通機関や軍事分野で、技術分野を䞭心ずする著述掻動を展開䞭のテクニカルラむタヌ。
マむクロ゜フト株匏䌚瀟を経お1999幎春に独立。『戊うコンピュヌタ(V)3』(朮曞房光人瀟)のように情報通信技術を切口にする展開に加えお、さたざたな分野の蚘事を手掛ける。マむナ4ビニュヌスに加えお『軍事研究』『䞞』『Jwings』『航空ファン』『䞖界の艊船』『新幹線EX』などにも寄皿しおいる。このほど、本連茉「軍事ずIT」の単行本第6匟『軍甚通信 (わかりやすい防衛テクノロゞヌ)』が刊行された。