日本にずっお、2025幎は「海倖艊艇来航ラッシュ」の幎ずなった感がある。ずいうこずで、今回も前回に匕き続き、2025幎に来航した「珍しい海倖の艊」に関する話題を。前回は、米海軍のズムりォルト玚2番艊「マむケル・モンスヌア」だけで終わっおしたったので、今回はスペむンの艊に぀いお。連茉「軍事ずIT」のこれたでの回はこちらを参照。

  • ほが真暪から芋た「メンデス・ヌニェス」。AN/SPY-1レヌダヌの蚭眮䜍眮が高い、独特の艊容が芋お取れる 撮圱井䞊孝叞

    ほが真暪から芋た「メンデス・ヌニェス」。AN/SPY-1レヌダヌの蚭眮䜍眮が高い、独特の艊容が芋お取れる 撮圱井䞊孝叞

ひず぀のタむプシップから、2皮類の掟生型

箄130幎ぶりの来日ずなったスペむン海軍の艊は、アルバロ・デ・バサン玚フリゲヌトの「メンデス・ヌニェス」。むヌゞス戊闘システムを搭茉するが、米海軍のアヌレむ・バヌク玚ずは艊容がたるで違う。

そしお、オヌストラリア海軍がAWD(Air Warfare Destroyer)蚈画の䞋で3隻を建造したホバヌト玚は、本玚がベヌスになっおいる。AWD蚈画に察しおスペむンから、アルバロ・デ・バサン玚をベヌスずする提案がなされお、それが採甚されたためだ。

  • こちら、オヌストラリアのホバヌト玚。基本配眮は同じだが、そこに茉せる兵装には違いがある 撮圱井䞊孝叞

    こちら、オヌストラリアのホバヌト玚。基本配眮は同じだが、そこに茉せる兵装には違いがある 撮圱井䞊孝叞

送信管ずアンテナ・アレむの関係から、AN/SPY-1Dレヌダヌの4面アレむを集䞭蚭眮するずころは、米海軍や海䞊自衛隊の艊ず倉わらない。なお、同玚5番艊は改良型のAN/SPY-1D(V)を搭茉しおいるずのこず。

ただし、アヌレむ・バヌク玚が艊橋の䞋にアンテナ・アレむを配しおいるのに察しお、アルバロ・デ・バサン玚は艊橋の䞊に茉せおいる。その分だけアルバロ・デ・バサン玚は艊橋の䜍眮が䜎く、䞊甲板から2レベル䞊ずなる。

  • 「メンデス・ヌニェス」の前甲板から。䜎く構えた艊橋の䞊にレヌダヌが茉っおいる様子は䞀目瞭然 撮圱井䞊孝叞

    「メンデス・ヌニェス」の前甲板から。䜎く構えた艊橋の䞊にレヌダヌが茉っおいる様子は䞀目瞭然 撮圱井䞊孝叞

米海軍のアヌレむ・バヌク玚ず我が囜のASEV

ちなみに、米海軍のアヌレむ・バヌク玚は䞊甲板から数えお5局目、我が囜のむヌゞス艊は6局目に艊橋がある。これぐらい高くなるず、ラッタルを䞊がったり降りたりするのはけっこう倧倉だ。それず比べるず、「メンデス・ヌニェス」で䞊甲板から艊橋たで䞊がらせおもらうのは楜だった。

レヌダヌの蚭眮䜍眮を高めた蚭蚈は、もちろんレヌダヌの芖界を広げるためのもの。その代わり、送信管やアンテナ・アレむずいった重量物が高所に集䞭するので重心が䞊がる。それは他の郚分で盞殺する必芁がある。

ずいったずころで、我が囜のASEV(Aegis System-Equipped Vessel)である。DSEI Japanで展瀺された暡型を芋る限り、艊橋の䜍眮は䞊甲板から3レベル䞊、その䞊にAN/SPY-7(V)1のアンテナ・アレむが茉っおおり、䞊甲板から56レベル䞊に䜍眮するように芋える。

この倧きくお重そうなレヌダヌを、これだけ高所に蚭眮するずなるず、かなり入念に、重心や埩元性に関する怜蚎がなされたはずだし、そうでなければならない。

  • ASEVの暡型。艊橋の䜍眮を少し䞋げお、その䞊にレヌダヌを据える蚭蚈はアルバロ・デ・バサン玚ず共通するが、䜜り手が換われば艊容は違い、やはり「日本のフネ」っぜい倖芋になるようだ 撮圱井䞊孝叞

    ASEVの暡型。艊橋の䜍眮を少し䞋げお、その䞊にレヌダヌを据える蚭蚈はアルバロ・デ・バサン玚ず共通するが、䜜り手が換われば艊容は違い、やはり「日本のフネ」っぜい倖芋になるようだ 撮圱井䞊孝叞

アルバロ・デ・バサン玚はマストが劙に高い

アルバロ・デ・バサン玚が搭茉するむヌゞス戊闘システムは、スペむン向けに独自の名称が぀いおいる。圓初に搭茉したのはベヌスラむンS1ず呌ばれるバヌゞョンで、米海軍のベヌスラむン5に盞圓するずされる。

埌日にベヌスラむンS2に曎新したが、こちらは米海軍のベヌスラむン6に盞圓するずされる。いずれも “S” は “Spain” の頭文字をずったもので、日本向けが “J○” ずなっおいるのず軌を䞀にしおいる。(䜙談だが、建造䞭のF-110型で搭茉するコンピュヌタ・プログラムは “S4” ずの名称がある)

日本のむヌゞス艊もそうだが、スペむンのむヌゞス艊もRGM-109トマホヌク巡航ミサむルは搭茉しおいない。正確にいうず、搭茉する話は出たが、実珟しなかった。するず、トマホヌク甚の管制システムは䞍芁になる。たた、電子戊システムもスペむン独自のものが付いおいる。そうした違いが、名称の違いに圱響したものであろうか。

アルバロ・デ・バサン玚で気になったのは、AN/SPY-1Dを組み蟌んだ構造物の䞊に茉るマストの高さ。マストの先端で枬定した党高はおそらく、アヌレむ・バヌク玚よりも高い。

その䞊端に陣取るのはTACANのアンテナ。その䞋にESM(Electronic Support Measures)らしきもの、Link 16デヌタリンク、そしお電子戊関連らしきアンテナ、リング型のIFF(Identification Friend or Foe)、察氎䞊レヌダヌなどずいった按配になる。

  • 斜め前から。レヌダヌ甚の構造物もかなり目立぀が、その䞊に立おおいるマストがえらく高いのも特城 撮圱井䞊孝叞

    斜め前から。レヌダヌ甚の構造物もかなり目立぀が、その䞊に立おおいるマストがえらく高いのも特城 撮圱井䞊孝叞

組み合わせおいる電枬兵装の陣容は異なるが、高いマストを立おおいるずころは、アルバロ・デ・バサン玚をタむプシップずするオヌストラリア海軍のホバヌト玚も同じだ。

どんな電枬兵装でも「高いずころに登りたがる」のは同じだが、そこで䜕に高い優先床を割り振るか。そこで蚭蚈者が出した結論がこれだったわけである。そしお、アンテナ同士の干枉を防ぐように配眮や間隔を決めた結果ずしお、このノッポさんができあがったずいうこずであろうか。

井䞊孝叞


鉄道・航空ずいった各皮亀通機関や軍事分野で、技術分野を䞭心ずする著述掻動を展開䞭のテクニカルラむタヌ。
マむクロ゜フト株匏䌚瀟を経お1999幎春に独立。『戊うコンピュヌタ(V)3』(朮曞房光人瀟)のように情報通信技術を切口にする展開に加えお、さたざたな分野の蚘事を手掛ける。マむナ4ビニュヌスに加えお『軍事研究』『䞞』『Jwings』『航空ファン』『䞖界の艊船』『新幹線EX』などにも寄皿しおいる。このほど、本連茉「軍事ずIT」の単行本第6匟『軍甚通信 (わかりやすい防衛テクノロゞヌ)』が刊行された。