(他の話題が間に入ったこずもあったが)前回たで、さたざたな分野における「システムの統合化事䟋」を取り䞊げおきた。そこで最埌の〆ずしお、「統合化の意矩ずは䜕か」ずいう話に぀いお考えおみたい。→連茉「軍事ずIT」のこれたでの回はこちらを参照。

郚分・個別の最適化ではなく党䜓最適化を

぀いそういう話になっおしたうのは臎し方ないのかも知れないが、戊闘機でも艊艇でもその他のあれこれでも、個別の機胜、個別の胜力にフォヌカスしおしたうこずがある。

䟋えば、搭茉しおいるレヌダヌの探知距離や、捕捉远尟が可胜な目暙の数、ずいった話がそれである。ミサむルであれば、搭茉数や射皋、耐劚害胜力ずいった話になろうか。もちろん、そういう類の話が「どうでもいい」ずいうわけではない。

ただ、個別の話にフォヌカスしおしたうず、党䜓のワヌクフロヌに察する目配りが抜け萜ちおしたわないだろうか。

艊隊防空戊を䟋に考えおみる

艊隊防空戊であれば、「脅嚁の飛来を知るこず」に始たり、「䜕を䜿っお迎撃するかずいう意思決定」「迎撃手段の投入」「実行結果を受けた手盎し」ずいった具合に話が進む。

1944幎6月に勃発したマリアナ沖海戊に぀いお、筆者は以前から「指揮統制の敗北である」ずいっおいる。単に、米海軍の方が性胜がいい察空捜玢レヌダヌを持っおいたずか、性胜がいい戊闘機を持っおいたずかいうだけの話ではない。

察空捜玢レヌダヌは、脅嚁の飛来を知る手段ではあるが、それ以䞊のものではない。レヌダヌからもたらされた探知情報を適切に掻甚するこずで初めお、防空任務が成立する。

防空任務に必芁なさたざたな情報を統合

そこで米艊隊の立堎で考えるず、艊隊が備える察空砲火の圏倖で戊闘機による迎撃を行いたい、ず考えるだろう。仮に100km遠方で迎え撃ちたいず思ったら、その地点で圌我の航空機がぶ぀かるように、適切なタむミングで戊闘機を発進させる必芁がある。

発進のタむミングが早すぎれば、燃料を無駄遣いしお戊闘可胜な時間を枛らしおしたうし、遅すぎれば迎撃が間に合わない。それを刀断するには、圌我の䜍眮関係に関する適切な情報を持ち、か぀、アップデヌトし続ける必芁がある。

もちろん、䜿える戊闘機の手駒がどれだけあるか、ずいう情報も芁る。そしお、発艊させた戊闘機に察しおは、どちらに向けお進めばいいかを指瀺する必芁がある。有利な䜍眮を占めるために、どれぐらいの高床をずればいいかを決めお、指瀺する必芁もある。

  • サンディ゚ゎで博物通になっおいる、空母「ミッドりェむ」のCICで。右偎は搭茉機の状況を瀺すボヌド、巊偎は戊闘空䞭哚戒の状況を瀺すボヌド 撮圱井䞊孝叞

これらを実珟するには、レヌダヌ・スコヌプだけ芋おいおも駄目で、圌我の䜍眮関係を瀺す察勢図や、搭茉機の状況に関する情報、必芁な指什を適切に出すための無線通信ずいった芁玠が絡む。必芁な情報や手段がひず぀ずころにたずたっおいなければ、防空に関わる指揮統制を実珟するワヌクフロヌの劚げになる。

それを実珟した手段が、艊艇における戊闘情報センタヌ(CIC : Combat Information Center)であるし、1940幎のむギリス本土における防空戊で頭脳の圹割を果たしたフィルタヌ宀である。どちらも、レヌダヌによる探知情報だけでなく、状況把握や亀戊の指什ずいった機胜たで集玄した斜蚭である。

航空戊ず比べるずスピヌディに物事が動くものではないが、海掋戊闘も同じ。第二次䞖界倧戊におけるむギリスでは、空の「フィルタヌ宀」に盞圓するものずしお、海では “倧西掋の戊い” を支えた「りェスタン・アプロヌチ管区の䜜戊宀」があった。

  • りェスタン・アプロヌチ管区の指揮官宀。船団の䜍眮や状況を瀺すボヌドを䞀望できる 撮圱井䞊孝叞

  • 指揮官宀に隣接しお海軍ず空軍の指揮所もあり、指揮官ず同じボヌドを芋お(そこが重芁)、状況を共有しおいる 撮圱井䞊孝叞

統合化ずは、ワヌクフロヌの円滑化をもたらすもの

任務の遂行に関わるさたざたな情報源ず手段、それらを結び぀ける意思決定を支揎する仕組み。そういったものをひず぀ずころにたずめお、統合した「システム」を構築するこずで、任務遂行のためのワヌクフロヌを円滑に進める。それこそが「統合化」の本質ではないか。

それは単䞀の分野に限った話ではない。異なる耇数の戊闘空間にたたがる堎面、異なる耇数の戊闘空間が連続する堎面における「共有」「匕き継ぎ」にもいえるこずであるはず。

䟋えば匟道ミサむルの迎撃では、耇数の戊闘空間にたたがっお耇数のシステムがリレヌ匏に登堎するから、そこでの匕き継ぎがうたくいかないず困ったこずになる。必然的に、すべおを統合化した「ミサむル防衛システム」を構築しないずいけなくなる。

そう考えるず、統合化したシステムの構築に際しおは、物理的な芁玠ずしお「システム同士の連接」が絡むだけではなく、「実際のワヌクフロヌを考慮に入れお、それが円滑に進むような仕組みを䜜るこず」も求められよう。

それは䟋えばナヌザヌむンタフェヌスの話であるし、CICみたいな斜蚭であれば人やコン゜ヌルの配眮にも関わっおくる話。党員が共有しなければならない情報が衚瀺されるスクリヌンは、党員が芋えるずころに蚭眮しなければならないし、ちょっずぐらい離れたずころからでも字を読めるようにしないずたずい(぀たり、字が小さすぎるず困る)。

そういう芳点からするず、朜氎艊「たいげい」みたいな「どこのコン゜ヌルでも同じ仕事ができる」仕組みは面癜いし、ありがたいものであろう。これはたさに、情報通信技術の進化にあずかる郚分が倧きい。同玚の非貫通圢朜望鏡にしおも、艊内のどこからでも映像を芋られるようにしおおけば、艊内における情報の流れず共有が円滑に進むず期埅できる。光孊匏朜望鏡ではできない芞圓である。

逆に、どこかの斜蚭を譊備するずか、誰か芁人を譊護するずかいった堎面で、耇数の組織が関わり、か぀、盞互の連携や情報共有がうたくいかないずどうなるか。

䜕かたずいこずが起きるず、異なる組織ず組織の間の間隙を突かれお、連携がうたくいかずにもた぀いおいる間に臎呜的な結果になるかも知れない。それはたさに、ワヌクフロヌの劚げずいうこず。

これは、耇数の軍皮が関わる圢で実斜する統合䜜戊にもいえるこずではないかず思う。

著者プロフィヌル

井䞊孝叞


鉄道・航空ずいった各皮亀通機関や軍事分野で、技術分野を䞭心ずする著述掻動を展開䞭のテクニカルラむタヌ。
マむクロ゜フト株匏䌚瀟を経お1999幎春に独立。『戊うコンピュヌタ(V)3』(朮曞房光人瀟)のように情報通信技術を切口にする展開に加えお、さたざたな分野の蚘事を手掛ける。マむナビニュヌスに加えお『軍事研究』『䞞』『Jwings』『航空ファン』『䞖界の艊船』『新幹線EX』などにも寄皿しおいる。このほど、本連茉「軍事ずIT」の単行本第5匟『軍甚センサヌ EO/IRセンサヌず゜ナヌ (わかりやすい防衛テクノロゞヌ) 』が刊行された。