今回のお題は潜水艦。この分野も御多分に漏れず、昔は「潜望鏡」「ソナー」「レーダー」といったセンサー群がバラバラに開発され、バラバラに搭載されていた。それが統合化されるようになった経緯は、水上艦や戦闘機と似ている。→連載「軍事とIT」のこれまでの回はこちらを参照。
情報がバラバラだと何が面倒か
まず、統合化がなされていない潜水艦で、襲撃がどのように行われるかについて考えてみる。
パッシブ・ソナーで探索
アクティブ・ソナーを使えば、探知目標の方位と距離が一発で分かるが、探知目標が何者なのかは分からない。分かるのは、「ソナー音波を反射する誰かさんがいる」ことだけである。それに、アクティブ・ソナーを作動させれば、自艦の存在を暴露してしまう。
だから、基本的にはパッシブ・ソナーで聞き耳を立てることになる。こちらは相手が出す音波の内容を基にして、探知目標が何者なのかを識別できる可能性がある。音源の方位に加えて、周波数ごとの音の強弱分布や、スクリューが発する音に基づく回転数の推定とかいった情報を得られる。