ここまで、「艦艇と電測兵装」というテーマでいろいろ書いてきている。では、搭載する電測兵装の種類が多種多様で設置数も多い艦というと、どんな艦種が思い浮かぶだろうか。さまざまな兵装を搭載する駆逐艦やフリゲート、艦隊の中枢で、かつ多数の航空機を効率良く運用しなければならない空母。この辺は分かりやすいが、意外なところに伏兵がいる。→連載「軍事とIT」のこれまでの回はこちらを参照

強襲揚陸艦とは

それが強襲揚陸艦、とりわけ空母型の強襲揚陸艦。

強襲揚陸艦という名称はまことに勇ましいが、一般的には「ヘリコプターやティルトローター機を用いる空からの上陸作戦」と「揚陸艇や水陸両用装甲車を用いる海からの上陸作戦」の両方を、1隻で遂行できる艦を指す。この手の揚陸艦の嚆矢は、米海軍のタラワ級である。

  • 米海軍のタラワ級強襲揚陸艦「ペリリュー」(LHA-5)。空母のそれよりは大きいが、それでもあまりスペースがあるとはいえないアイランド(島型艦橋)に、多数の電測兵装が取り付いている様子が分かる 写真: US Navy

空からの上陸作戦を仕掛けるためには、飛行甲板をできるだけ広くとりたい。同時に多数のヘリコプターやティルトローター機を発着させたいからだ。そうしないと上陸波が五月雨式になって、各個撃破されかねない。ある程度、まとまった数を一気に送り込みたい。

一方、揚陸艇や水陸両用装甲車を用いて海からの上陸作戦を仕掛けるためには、艦尾に組み込んだウェル・ドックを使う。平素は乾いた状態になっているが、艦尾のバラスト・タンクに注水して艦尾を下げてから扉を開くと、ドックに海水が入り、浮上航行による出入りができる。

陸・海・空ににまたがる上陸作戦で求められる通信

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