凸版印刷は2022年6月16日、メタバース上に高精細な美術館・博物館を構築するサービス「MiraVerse(読み:ミラバース)ミュージアム」を開発した、とプレスリリースで発表した。
では、なぜ凸版印刷は、美術館・博物館をメタバース上に開発したのだろうか。今回は、そんな話題について触れたいと思う。
凸版印刷のメタバースミュージアム「MiraVerseミュージアム」とは?
凸版印刷が開発した、メタバース上に高精細な美術館・博物館を構築するサービス、MiraVerseミュージアム。
凸版印刷では、美術館や博物館における、リアル以外の新たな鑑賞のあり方について検討してきたようだ。具体的には、建物や製品、アート、自然など、現実空間のあらゆるものを忠実に取り込んだ臨場感の高いものを提供し、またオリジナル作品の色や質感の忠実な再現を追求した美術館や博物館にしたいというもの。これがメタバースのMiraVerseミュージアムだ。
では、このMiraVerseミュージアムには、どのようなメリットがあるのだろうか。
例えば、「ガラスケースがない」、「作品の裏面を見ることができる」などバーチャル空間ならではの体験や、アバターを介した友人や学芸員とのコミュニケーションを組み合わせた、新しい作品鑑賞体験を提供することができる。
ガラスケースがないことは、リアルの展示では味わえない実際に手に取ってみているかのような体験をすることができるし、普通の美術館・博物館では、繊細な版画作品は、保存のために常設されている例は少なく、複数の作品をローテーションさせながら展示していることが多い。
このように、メタバース上のミュージアムの利点は多いのだ。
また、他にも「MiraVerseミュージアム」には、メリットがある。それは、実空間では不可能な鑑賞体験の実現、名作を一堂に展示することや、多言語での紹介、複数人での同時鑑賞やギャラリーツアーなどのイベントを可能にすることだ。
いかがだっただろうか。
凸版印刷では、現在「MiraVerseミュージアム 広重」として浮世絵師、歌川広重の作品を公開している。
同社は、美術館と鑑賞者、鑑賞者同士でのコミュニティの形成を目指して、MiraVerseミュージアムを地方創生に資するビジネス基盤として展開していくという。
さらに、MiraVerseミュージアムを日本国内だけでなく世界中の美術館・博物館に展開させることで、鑑賞機会をあらゆる人々に届けるとともに、新たな鑑賞者との接点、集客を通じて美術館・博物館を支援できるビジネスの創造を目指すという。