10月に入りましたので、ノーベル賞の話題と思いきや、天文ファン界隈では、現在、紫金山(ツチンシャン)・アトラス彗星も話題でございます。ええ、どっちも気になる~というお話をいたしますね。
10月7日スタート 2024年のノーベル賞の発表
科学界でもっともみんなが注目するノーベル賞。100年以上の伝統と、1.5億円程度の巨額な賞金などでみなさまお馴染みです。授賞式は12月なのですが、受賞者発表は10月の初旬、そう間もなくでございます。
今年の発表日は、生理学・医学賞が7日、物理学賞が8日、化学賞が9日、文学賞が10日、平和賞が11日、経済学賞が14日となっています。時間は日本時間で夜の18時(平和)、18時30分(医学生理学)、18時45分(物理学、化学、経済学)、20時(文学)となっていますが「早くて」なので、これよりたいてい少し遅くなります。
これらはネット中継がおこなわれますので、ワクワクしながら見ることもできますよ。
ノーベル賞についてのあれこれは、「どこでもサイエンス」でも毎年のように取り上げていますが、2023年の第267回とその10年前の2013年の第9回と第10回が楽しみ方という点で我ながらおもしろいです。
あと、そもそもノーベル財団のホームページがとっても情報豊かでおもしろいですよー。自動翻訳の精度もあがってきたので結構楽しめますよね。
今年のノーベル賞、だれが受賞するんだろう
ノーベル賞予言賞などといわれるクラリベイト引用栄誉賞が先だって発表されて22名が受賞していますが、日本人では、堂免一成さんの「水分解用光触媒と太陽光水素製造システムの構築に関する基礎研究」が受賞していますね。次世代エネルギーとして重要視されるも、製造と貯蔵がめんどうくさい水素について、多くの研究者が注目している研究ということですな。
宇宙大好きな私としては、昨年も書きましたけど、宇宙で銀河などの巨大天体の誕生に寄与していると考えられているダークマター関係でだれか受賞しないかしらんと思うし、ブラックホールの撮像成功も受賞しないかしらんですが、まあ、もう楽しみに待つことにします。受賞研究については、ノーベル財団ほか非常に多くの人(たまには不肖・しののめも)が解説するので、サイエンスを楽しむという点でも楽しみなのがノーベル賞でございます。
10月中旬から 夕方の西空に大彗星……なるかな? 紫金山(ツチンシャン)・アトラス彗星
さて、私の周囲、天文・宇宙業界なのですが、紫金山(ツチンシャン)・アトラス彗星の話題でもちきりです。この彗星は2023年に発見されたのですが、かなり遠方ですでにそれなりに見えていたので、非常に明るくなり「都会でも雄大な尾を引いた姿が見られる」<かも>←ゴシップ的アオリ。というので話題になったものです。
彗星は、その名前のとおり、「ほうき」のような姿をすることもある天体です。彗星の英語表記「Comet(コメット)」は、COMA(髪の毛)のようなもので、やはり同じような姿を表現しています。まあ、写真のような感じですね(ちなみにフリー素材です)。
ただ、ほとんどの彗星はこんな風にならず、写真でいえば“頭”にあたる部分のみの、ボヤーっとした姿をしている天体です。
このボヤーっとした中心には氷と砂がぐちゃぐちゃっとかたまった直径数百メートル~10km程度の雪玉があり、太陽に接近すると、蒸発してチリとガスをまき散らし、それが太陽光の圧力によって吹き流されてこんな姿になるのでございます。
チリやガスの量が少ないと、“尾”といわれるながく伸びた様子は見られません。
また、毎年たくさんの彗星が発見されているのですが、ほとんどは肉眼で見られるほど明るくなりません。小さくともまわりにまとうチリとガスが広がるので、そこそこ太陽の光を反射するんですけどね。
ところが、2023年1月に発見された、この紫金山・アトラス彗星は、かなり遠方でも明るく、太陽接近時(9月27日)の距離も太陽に近く(つまりそれだけ蒸発量が大きい)。太陽から離れはじめる10月9日くらいから夕方の低空で空で明るく輝いている金星なみの明るさになると予報されました。それに先立つ、10月5日から“尾”が地平線からたちあがって見え、10月中旬にかけて観測のチャンスだといわれました。
が、その楽観的な予想ほどには明るくはなっていないのですが、それでも9月末に条件のよい南半球からの写真を見ると、そこそこには「育っており」、彗星の明るくなる物理的な性質から、
10月初旬は日中でも見れる<かも>←ゴシップ的アオリ。
とか
10月の中旬は。都会でも夕空に“頭”は双眼鏡で確認できそうですが、空が暗いところでは、雄大な尾が見える<かも>←ゴシップ的アオリ。というところです。
天文シミュレーションソフトステラナビゲーター11で、で毎日の日の入り30分後の様子(予想)を示します。どうなるかなー。いや、本当に楽しみですね。