星のような光が、スッと流れる流れ星、いつもは1時間に数個しか見えません。ところが年に数回、これが一気に10倍も見える日がやってきます。それが3大流星群。12月14日のふたご座流星群はその1つ。観察のポイントからウンチクまでご紹介します。そうそう、流れ星については、連載2回目にもいろいろ書いていますので、こちらもよかったらあわせて読んでくださりませー。

サクッとわかる、12月14日ピークのふたご座流星群&観察法

1. どんなものか?

流れ星がいつもより多く見える。ピーク時の2時間くらいはいつもの10倍。

都会では1時間で10個、田舎では50個くらいの流れ星が見込める。

その前後の日でも、ピーク時の3分の1程度の流星が見られる。

2. いつみるか?

2013年12月14日未明がベスト。12月13日~15日ならふだんよりだいぶ流星が見やすい。

月があると流れ星は見えにくい。13日は月が沈むのが夜中の2時すぎ、14日は3時すぎ、15日は5時前とちょっとこまった感じ。ただ、月を建物の陰にかくすようにすれば、影響は小さくなるので、夜半でもなんとかなる。

3. どうみるか?

空がある程度見える場所で、30分程度、見上げてねばる。どの方向を見てもよい。

道具は不要。メガネやコンタクトはかけてできるだけ遠くのものがくっきり見えるように。

明るいものは見ない、街灯などのほか、携帯電話の画面や懐中電灯の直視もさける。

見るときには、寝転がるか、空をゆったり見あげられるのがよい。コットや寝椅子あれば最高。

4. やってはイケナイ

駐車場や畑など、他人の土地に「無断で」入るのは厳禁。

自動車や、野生の大型動物が入る可能性がある場所、落下や水濡れの可能性がある場所は避ける。

大声を出す。公共の場所などにゴミを散らかすなどはダメ。夜中ですしね。

2010年12月15日0時42分に撮影された「ふたご座流星群」 (出所:国立天文台Webサイト。撮影者:佐藤幹哉氏(国立天文台天文情報センター)、観測地:山梨県鳴沢村)

ここからが本文です - ふたご座流星群は3大流星群の1つ!

12月になると、街は星のかざりでいっぱいになりますね。この時期、天然の星空でもいいことがあるんです! それが3大流星群の1つ、ふたご座流星群の活動ピークです。一番たくさん流れ星が見られるってことですね。

ふたご座流星群のピークは、2013年は12月14日の朝8時です。ピークは毎年ほぼ同じ日になりますが、うるう年などの関係もあり、微妙にずれます。だから年によっては13日がピークってこともあります。ピークという名前の通り、この8時に最も多くの流れ星が流れますが、その前後の日でもピークの3分の1程度の流れ星は期待できます。さすがに4~5日も離れてしまうと、流星群あるの? ってな感じになってしまいます。

ふたご座流星群の観察にベストな時間はというと、それは14日の夜明け前です。今年のピークの朝8時では、太陽が昇っていて、流れ星は見えません(実は見えることもあるんですが、それは後で書きますね)。実際に観察によい時間は、その直前の夜明け前。つまり14日の朝4~5時ごろってことになります。

実際にはもうすこし広く、13~15日の夜なら、観察には適しています。一方で、流れ星の光は、まあ、ふつうの星と同じくらいなので、月明かりには負けてしまいます。実は、今年は、月まわりがちょいと悪めなんですね。半月と満月の間の明るい月が夜中すぎまで見えていて、ベストな状態になるのは、月が沈む夜明け前ということになります。

それでも、月を建物のかげにかくして、反対の空を見ることで、だいぶマシになります。何も考えなくても大丈夫、といかないというだけのことです。

流れ星のみかた

ところで、流れ星を見る方法ですが、まあ、極端な話、外をぼーっとながめるだけでも、かまいません。冬だから、虫などの心配もないし、家の窓をあけて空を見るのもいいですね。部屋の明かりが明るいと、よく見えないです。ですから、明かりを消して、ベッドのそばの窓をあけて、ねっころがりながら観察でも、無問題です。

ただ、少しでも流れ星をよく見ようと思ったら、屋外の、できるだけ空が開けたところで、ねころがって空を見るのがおすすめでございます。

そのままねころがると、痛いし、寒いし、しんどいので、寝椅子を使ったり、厚手のマットをしいたりするのがいいんですが、そんなものがなければ、実は大きな段ボールをしくのがかなり有効です。ちょっとみっともないことをのぞけば。

ちょっとご注意・防寒・防犯・安全

屋外でじっとする場合は、防寒・防犯・安全に対応してください。

防寒、はい、着込んでください。また、足先が寒くなります。厚手の靴下にカイロをしのばせてもよいと思います。

防犯、夜中にじっとしているので、あなたが不審者と思われるかもしれません。いざというとき逃げ込める場所、子どもじゃなくても防犯ブザーなどを用意してください。大声で叫ぶ準備でもOK。

安全、たまに駐車場でみるといいという記事をみかけますし、天文マニアはけっこう駐車場に陣取ることが多いのですが、車の出入りする可能性がある場所はおすすめできませんねー。寝転がっていたら、いきなりバックしてきた車にひかれたなんて、洒落にもなりません。あと、これもいうまでもないのですが、がけっぷちなど落下や、河原なども危険ですね。

そのほかは、最初に書いた通り、常識的な行動をとってください。夜中に騒いだら、警察呼ばれます。他人の土地に無断で侵入してはいけません。公共の公園などがいいでしょう。

ところで、流れ星ってなんだっけ、彗星とどうちがうの?

流れ星は、星のような光がいきなり現れて、動いて消えるそんな出来事ですね。発光する時間は0.5秒程度ですから、まさにあっという間、願い事言えるといいなというくらいです。

この発光は、太陽をめぐる極小の天体、砂つぶが、地球の大気に衝突して、大気を発光させています。衝突の平均速度は秒速30~70km。ライフル銃の弾丸の100倍というものすごいスピードです。地球の大気に衝突した砂粒は、猛烈に圧縮されて周囲の空気にエネルギーを伝えます。そして、エネルギーを与えられた空気が砂粒の経路にそって発光する、それが流れ星なのですねー。

じゃあ、彗星は? というと、これは直径が数kmもある、氷でできた天体です。太陽の光を受けて氷が蒸発し、ガスや粉々のチリとなってとびちり、太陽の光を反射して光ります。

流れ星と彗星は、スケールも光り方もまったく違うのですねー!

ふたご座流星群と母彗星ファエトン

ただ、両者が無関係かというと、そうではなく、彗星からとびちったチリが、地球の大気にぶつかると流れ星になるのです。チリは一度にたくさん、できますので、まとまって地球にぶつかってくる。これが、流星群というわけです。流星群をつくった彗星は、母彗星とよばれます。ほとんどの流星群は母彗星がわかっています。有名なハレー彗星もオリオン座流星群、みずがめ座η流星群の母彗星です。

ふたご座流星群は、流れ星の突入軌道から、ファエトンという1983年に発見された天体のチリによって現れているということが明らかになりました。ふたご座流星群と非常に軌道が似ているので、そのように考えられているんですね。

ファエトンは当初、彗星としては活動(ガスやチリを飛び散らせる)していないと考えられていました。単に太陽をめぐる小さな天体=小惑星として観測されてきたのですが、最近になって、彗星のように見えることもあることがわかってきました。ちなみにこの天体、太陽に非常に接近することがあり、最接近時には表面の温度が1000度にも達することがわかっています。また、地球に接近することもあり(だから、ふたご座流星群の母彗星にもなるんですが)、衝突する危険性もありますが、むこう100年以上は問題ないことがわかっています。ほっ!

日中の流れ星

ところで、流れ星は、月があると見えにくいだの、明るい街灯はさけろだの、弱々しい話ばっかり書いて参りました。しかし、流れ星も、暗いのから明るいのまでいろいろでして、時には、まばゆいほど輝く流れ星もあるのです。

そして、そんな中には、昼間でも見える流れ星もあるのですね。

かくいうワタクシも、朝ですけれど、青空のなかに流れ星を見たことがあります。流星群の観察を朝までしていて、明るくなって片付けている最中のことでございました。まるで空にひっかき傷のように現れ消えて、それは鮮烈でした。

また、昼間に流星群が見えたという記録も、あちこちに残っております。今回のふたご座流星群でも、もしかしたらそんなことがあるかもしれませんので、夜寝てしまっても、14日の朝はちょっと空を注目してみてくださいね!

ちなみに前回の「どこでもサイエンス」クイズの答え

問題:ハロウィン(10月31日)とクリスマス(12月25日)は同じ日だと言い張るプログラマがいます。それはなぜでしょう?
答え:8進法(OCT)の31は、3×8+1で10進法(DEC)の25だから
解説:ハロウィンは10月、Octoberオクトーバーなので、OCT31。クリスマスはDecemberなので、DEC25ともかけます。OCT31は8進法の31、DEC25は10進法の25という意味でしょ! とプログラマは言いたかったのでしょうね。

著者プロフィール

東明六郎(しののめろくろう)
科学系キュレーター。
あっちの話題と、こっちの情報をくっつけて、おもしろくする業界の人。天文、宇宙系を主なフィールドとする。天文ニュースがあると、突然忙しくなり、生き生きする。年齢不詳で、アイドルのコンサートにも行くミーハーだが、まさかのあんな科学者とも知り合い。安く買える新書を愛し、一度本や資料を読むと、どこに何が書いてあったか覚えるのが特技。だが、細かい内容はその場で忘れる。