Microsoft Excelを使って、データの整理や分析を行うための基本的な技術から応用までを学ぶことを目的とする本連載。全10回で、データ入力の基本操作からデータ分析ツールとしての使い方まで紹介する。
Microsoft Excelはスプレッドシートアプリケーションのデファクトスタンダードだ。データ整理や表計算はもちろん、デザインが行いやすいという理由で文書系の書類の作成やポスターといった画像を多く含む資料などの作成にも使われる。長期にわたって世界中のユーザーに使われているアプリケーションであり、このアプリケーションなしでは仕事にならない現場は多い。
とはいえ、実のところ、業務の流れで何となくExcelを使い出して、特定の機能だけを使っているケースも多いのではないだろうか。本連載ではそうした方を対象に、Microsoft Excelの基本となる使い方から、データ分析などExcel本来の使い方までカバーする。
さて、初回となる今回は、Microsoft Excelを初めて使う初心者でもデータ分析に取り組めるよう、基本操作とデータの入力方法を説明する。Excelの画面構成や基本操作から始め、セルへのデータ入力の基本、効率的な入力方法、データの編集やセルの移動、コピーの操作方法について説明し、よくあるトラブルの解決策なども紹介する。ステップバイステップのスキルアップに活用していただければ幸いだ。
Microsoft Excelのエディション
一口にMicrosoft Excelといっても企業で使われているExcelには複数のエディションが存在している。現在でも使われている主なエディションをまとめると次のようになる。
【永続ライセンス版Microsoft Excel】
- Office 2021 (Excel 2021)
- Office 2019 (Excel 2019)
- Office 2016 (Excel 2016)
【サブスクリプション型Microsoft 365】
- Microsoft 365 Apps for Enterprise
- Microsoft 365 Family
- Microsoft 365 Personal
本連載では、Microsoft 365 Apps for EnterpriseのExcelを取り上げる。Microsoft 365 AppsのExcelが最も新しく多くの機能が提供されている。Excel 2016、Excel 2019、Excel 2021はMicrosoft 365 Appsと比べると対応している機能は減るが、基本的なUI(ユーザーインタフェース)はExcel 2016からそう大きくは変わっていないので、本連載の内容も参考になるはずだ。
Excelの基本操作
Excelの上部には「リボン」と呼ばれるツールバーが配置されている。操作を行うためのボタンやメニューをまとめたUIだ。
Excelは機能が多いため、ツールバーに配置しなければならないボタンがかなりの数になる。ここで、使いたいのが「リボン」だ。リボンはコマンドを作業カテゴリーごとに「タブ」にまとめ、また、タブの中では関連するコマンドを「グループ」にまとめ、グループの中に「コマンドボタン」を配置している。少しでもユーザーが直感的にボタンにアクセスできるように配慮されたUIだ。
Microsoft 365 Apps Excel (2024年9月)のリボンは、次のようになっている。
リボンはカスタマイズもできるので、よく使う機能が使いやすいように設定していくのもスキルアップのテクニックの一つとなる。
データはセルに入力する。次のスクリーンショットで格子状になった領域がセルだ。緑色に選択されたセルが現在の入力対象。左端の1、2、3、4…は行、上部のA、B、C、D…は列。セルは行と列によって場所が特定される。セルに入力したデータは上部の入力フィールドにも表示される。
Excelファイルは「ブック」と呼ばれ、ブックには複数の「シート」を含むことができる。シートはワークスペースのことで、新規作成したブックには「Sheet1」というシートが含まれている。シートは次のスクリーンショットのように「+」をクリックして増やせるほか、メニューから削除や名前の変更を行うことができる。
Excelの下部はステータスバーになっている。ここには現在の作業状況やデータの概要がリアルタイムで提供される。表示されるデータはモード表示、数値簡易集計結果、ズーム表示倍率、マクロ記録ボタンなど。ページレイアウト表示モードをクリックすると表示モードを切り替えることができ、ズームスライダーを左右に動かすとシートの表示倍率を変更できる。
ExcelのUIのほんの一端に過ぎないが、少なくともこのあたりは基本中の基本として把握しておこう。