「SearchGPT」は、OpenAIが開発した新しいAI検索エンジンです。インターネット上の情報をリアルタイムで収集・要約します。従来の検索エンジンとは異なり、キーワード検索ではなく、自然な言語での対話形式で情報を取得できます。
OpenAIは2024年7月25日、「SearchGPT Prototype」を発表し、プロトタイプとしてウェイトリストに登録したユーザーにのみ限定公開されました(2024年10月14時点では、ウェイトリストはクローズされています)。
なお、筆者はウェイトリストに登録し、2024年8月15日に一時的なプロトタイプへのアクセス権が与えられました。今回は、このプロトタイプを使いながら、SearchGPTについて解説します。
SearchGPTを使ってみる
早速、SearchGPTを使ってみましょう。
SearchGPTは通常のChatGPTと同様、テキストを入力すると回答が返ってきます。以下に挙げる3ステップのうち、2ステップ目の「根拠」の部分がSearchGPTの大きな特徴の1つです。
- 質問する
- 根拠を確認する
- さらに質問する
質問する
まず、SearchGPTにアクセスします。今回は「SearchGPTとは?」と質問してみましょう。
概要から詳細まで、複数の情報ソースを組み合わせて、一つのまとまった文章で回答が得られます。これまでのキーワード検索のように、検索にヒットしたサイトを一つ一つチェックしていくやり方と比べ、大幅な時間短縮につながるはずです。
根拠を確認する
先の図を見ると、段落別に「AISMILEY」や「WIKIPEDIA」といったリンクがあります。参考に情報ソースをたどることが可能です。
今回は「AISMILEY」にマウスオーバーしてみましょう。以下のように参照元のサイトの情報が表示され、クリックすると、実際にサイトにアクセスすることができます。
また、「Sources」タブに切り替えると、情報ソースが一覧表示されるので、気になるページを閲覧していくことも可能です。
次に、「Media」タブに切り替えると、画像が一覧表示されるので、ソースと同じように気になるページを閲覧できます。
なお、これまでもChatGPTのWebブラウジング機能はありましたが、その機能が強化されたと考えるのが良いでしょう。
さらに質問する
「もっと詳しく知りたい」という場合、従来のキーワード検索では、主にキーワードの追加によってさらなる深掘りをしていました。SearchGPTでは、1つ目の質問から得られた情報の中で気になった点を深掘りするなど、さらに質問をしていくことが可能です。
気になった情報について2、3回質問するだけで、ものの2~3分あればおおよその情報を掴むことができます。
ChatGPTとの統合予定
公式サイトによると、SearchGPTは将来的にChatGPTに統合される旨の記載があります。本稿執筆時点(2024年10月14日)では、ChatGPTのメニューにSearchGPTが統合されていますが、挙動としては別れています。
筆者の環境から、ChatGPTにブラウザからアクセスすると、以下のように「SearchGPT」が表示されます(2024年10月14日時点)。リンクをクリックすると、ブラウザの新規タブでSearchGPTが立ち上がり、ChatGPTとは別で動作します。
類似ツールが備える機能
SearchGPTの類似ツールには、「Perplexity」や「Genspark」などがあり、それらはSearchGPTにはまだない機能も備えています。以下では、筆者が注目・活用している機能を3つに絞り込んで紹介します。
- 検索結果を記事として公開
- 関連質問候補
- ファクトチェック
ちなみに、SearchGPTは現状プロトタイピングのステータスなので、今後どんどん機能が追加されていく可能性があります。
検索結果を記事として公開
これまで、キーワード検索した結果はあくまで個人の知識として蓄積されたり、整理した内容をブログで公開したりといった用途で使われていました。
一方、AI検索した結果は、ある程度読み物としてまとまっています。例えば、Gensparkでは、検索した結果を「Spakpage」と呼ばれる記事として、シェアしたりWeb上に公開することができます。
関連質問候補
SearchGPTでも追加質問は可能ですが、よくありそうな質問を選択できると入力の手間が省けます。例えば、Perplexityでは以下の通り、関連する追加質問を選択可能です。
ファクトチェック
生成AIを使っていると、「その情報は本当に正しいのか?」といういわゆるハルシネーションの問題は避けられません。これは、従来のキーワード検索における「Webサイトの情報を鵜呑みにして良いのか?」という懸念と同様で、情報の真偽を見極める力は依然として必要となります。
Gensparkには「ファクトチェック」という機能があります。これは、生成された情報がファクト(正しい)かどうかを自動判定してくれるものです。もちろん、その判定が正しいかどうかは「ファクトチェック」機能自体の精度に依存するので、事実確認の主体がユーザーであることに違いはないでしょう。
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今回は、AI検索エンジンであるSearchGPTを紹介しました。SearchGPTは、これまでのキーワード検索とは大きくユーザー体験が異なります。「検索」の概念自体が大きく変わっていくと言っても過言ではないかもしれません。
先述の通り、SearchGPTはプロトタイピングのステータスです。類似ツールの機能含め、今回紹介した内容以上の機能を搭載していく可能性もあります。今後のSearchGPTの進化に注目です。