CEATEC JAPAN 2018において京セラは、「CEATEC AWARD 2018」にて総務大臣賞を受賞した金属上でも特性が低下しない小型アンテナ「Amcenna(アムセナ)」のデモ展示や、EVベンチャーGLMのトミーカイラZZをベースとし、自社の製品を各所に搭載したコンセプトカーの展示などを行っている。
Amcennaは、人工磁気壁(AMC)を独自技術で、求められる無限に近い周期構造を仮想的に作り出しつつ、AMC自体にアンテナ機能を付加することで独立アンテナ化と小型・薄型化を実現した小型アンテナ。AMCにより電波の干渉の影響を受けることがなくなるため、金属や水など、電波に影響を与える物質と密着していても、そうした影響を受けることなく、電波の送受信を可能としたものとなる。そのため、例えばMIMOのアンテナを密接した状態で配置したり、産業機器の測定したい部位にダイレクトにセンサを配置したり、といったことが可能となる。
ちなみに2.4GHz帯の場合、7mm×13.6mm×1.9mmのサイズだが、ほかの周波数でも似たいようなサイズで提供することが可能だという。
そのコンセプトは、アンテナをカスタマイズして作らなくても良いため、アンテナ設計を知らない人でも、手軽にIoTの無線通信を好きなように実現することが可能になる、というもので、今後のIoTの本格普及のカギとなる可能性がある。
京セラのIoT技術が盛り込まれたコンセプトカー
一方のトミーカイラZZベースのコンセプトカーは、同社が展開しているさまざまな分野で活用されている技術をEVに搭載したら、どうなるのか、ということを意識して開発されたもの。
例えばサイドミラーは電子ミラー化され、その表示デバイス(液晶パネル)も自社のもの。サラウンドビューも含めたカメラは、車外に7つ、車内もドライバーの状態監視などのために2つ搭載されている。また、ナンバープレートやシートには同社の人工宝石「京都オパール」が活用されるなど、電子部品だけではなく、オール京セラといった作りとなっている。
なお、同社によると、今回の出展は、同社の研究開発部門が中心になって行っており、同社としてもCEATEC JAPANをオープンイノベーションの場として活用していきたいという想いがある、とのことで、京セラが考える未来のIoTとして、いろいろと新しい提案をしていければとしている。こうした思いから、同社では、来場者にソリューションの紹介を行うステージにも、開催初日の16日には本田技研工業がゲストで登壇するなど、同社以外の企業などともコラボレーションをしているとのことで、開催2日目以降も、複数の企業からのゲスト登壇がよていされているという。