2018年1月17日~19日にかけて東京ビッグサイトにて開催されている「第10回 オートモーティブワールド(オートモーティブワールド2018)」においてSTマイクロエレクトロニクスは、HDBaseTを活用した車内ネットワークのデモなどを展示している。
同デモは、車内における次世代高速エンタテイメント/インフォテイメント向けソリューションの実現に向けたもので、強力なイコライザ特性を有するイスラエルValensのHDBaseTのPHY「VA6000」と、STのアプリケーションプロセッサを組み合わせることで、シールドなしのイーサネットケーブルながら6Gbps(フルHD)の高速伝送を最大15mの距離まで担保するというもの。同PHYはHDBaseTに対応したものだが、同社では次世代品としてMIPI-2対応品の開発なども進めているという。また、15mとしているのは6Gbpsを担保するためとのことで、米国などでは伝送速度を下げてはいるものの、もっと長い距離でバスのシートエンタテイメントなどに活用されている実績などがあるという。今回の展示は、日本市場におけるニーズの掘り起こし、といった意味合いが強いとのことで、本格的にソリューションとしての提供などといったことに関しては、今後の引き合いなどを見ながらの判断になるとのことであった。
また、同社ブースでは、前回に引き続き、ADAS向けHDR LEDフリッカー・フリーを実現するCMOSイメージセンサのデモ展示も行っている。とはいえ、前回は参考出展とのことでテストチップを用いた2.5Mピクセル/30fpsでの処理であったが、今回は製品版のイメージシグナルプロセッサ「STV0971」とダイナミックレンジ145dBのイメージセンサ「VG6788」を組み合わせた完全版の展示であり、2.5Mピクセルを60fpsで処理することが可能となったものとなっている。同ソリューションは、ローリングシャッタ方式を採用したものとなっており、グローバルシャッタ方式については現在、エンジニアリングサンプルは完成済みとのことで、2019年中の量産出荷を計画しているという。
さらに、同社ブースでは、車載グレード(AEC-Q100)に対応するTPM2.0準拠セキュリティチップ「ST33GTPMA020」のデモ展示なども行われている。自動車のセキュリティは、車外のネットワークに接続されることが絶対となる自動運転では必須となる。攻撃を受けないことが一番だが、もし攻撃を受けたとしても、それを防ぎ、システムが改ざんをされていないことを証明する必要がでてくる。TPM(トラステッド プラットフォーム モジュール)はPCなどで実績を有する技術であり、多くのセキュリティ関係者が活用、研究などを行っており、同社では自動車分野にもTPMを取り入れることで、そうした既存の知見を含め、多くの人によってセキュアな環境を育むことが可能になると説明している。同チップは現在サンプル出荷中とのことで、量産出荷は目前まで来ている状態だとしていた。