「航空機とセンサー」というテーマの下、これまでに取り上げてきたのは、機体にセンサー機器を組み込む、あるいはセンサー機器をぶら下げる、といった形であった。ところが何事にも例外は発生するもので、機体の一部を脱着式センサーにしてしまう事例もある。→連載「航空機の技術とメカニズムの裏側」のこれまでの回はこちらを参照

  • 飛行中のU-2S偵察機。コックピット後方と左右翼下のポッドだけでなく、機首にもセンサーの設置が可能 撮影:井上孝司

改良型でセンサー機器の搭載スペースを増設

それが、ロッキード(現ロッキード・マーティン)の偵察機、U-2ドラゴン・レディ。

U-2は当初、コックピット後方にあるQベイと呼ばれる区画にカメラを搭載していた。薄くて長い特製のフィルムと高性能の光学系を組み合わせたカメラにより、2万メートルを超える高度から、(晴れていれば)地上の精細な写真を撮影可能。そしてソ連上空を領空侵犯して、貴重な写真をたくさん持ち帰った。

その後の改良型では、センサー機器の搭載スペースが増やされた。まず、翼下に「スーパーポッド」と呼ばれるポッドが加わった。全長7.26m、容積2.35立方メートルで、ペイロードは350kg程度。ここはたとえば、電子情報(ELINT : Electronic Intelligence)や通信情報(COMINT : Communication Intelligence)の収集装置を搭載する。

長いお鼻は交換可能

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