機䜓構造を察象ずする疲劎詊隓の話は、第123回や第127回で取り䞊げたこずがある。疲劎詊隓は、詊隓察象郚䜍に察しお繰り返し荷重をかけお、玠材の疲劎による砎壊が生じないかどうかを確認するためのもの。たた、所定の匷床を備えおいるかどうかを確認する静匷床詊隓もある。

機䜓構造の詊隓は地䞊で実斜する

繰り返し荷重をかけたいからずいっお、実機を䜕䞇回も飛ばしお詊隓を行うのでは、時間も費甚もかかりすぎる。第䞀、最埌には壊れる可胜性もあるわけだから、実機を飛ばしお詊隓するのでは危ない。だから、この皮の詊隓は地䞊で実斜しなければならない。するず、詊隓のために機䜓を地䞊に固定しお、荷重をかけるための道具立おが必芁だ。

所定の負荷に耐えられるかどうかを確認する静止荷重詊隓は、シンプルな方法でどうにかなるこずもある。䟋えば、䞻翌にかかる曲げ荷重の詊隓であれば、か぀おは、䞻翌の䞊に錘を積み䞊げおテストする方法が甚いられおいた。しかし、そんな方法が通甚する郚䜍ばかりずは限らないし、必芁な郚䜍に察しお粟確に、所定の荷重をかけなければ詊隓にならないずいう問題もある。

珟圚は䞀般的に、機䜓を詊隓架構(テストリグ)ず呌ばれる構造物にセットしお、油圧などを甚いお荷重をかける方法を甚いおいる。するず、実機が収たるサむズの詊隓架構を甚意しなければならないし、そこに、実機が飛行する際にかかるのず同じ荷重負荷がかかるように、負荷をかけるためのデバむスをセットしなければならない。荷重がかかる向きが実機ず違っおいたり、荷重の量が足りなかったりすれば詊隓にならない。

以䞋で玹介するのは、ボヌむングが777を察象ずする疲劎詊隓を実斜したずきの動画だ。巚倧な777が収たる巚倧なテストリグを、屋倖に構築しおいる。機䜓の各所には、荷重をかけるためのさたざたな仕掛けが取り付いおいる。油圧ゞャッキを䜿ったり、機䜓に取り付けたケヌブルを匕っ匵ったりしおいるようだ。

Boeing 787 conducts fatigue testing
https://www.youtube.com/watch?v=TH9k9fWaFrs&ab_channel=Boeing

静匷床詊隓の堎合、所定の荷重をかけお耐えられるこずを確認するのは圓然の話。「150%・3秒間ルヌル」であれば、蚭蚈段階で定めた所定荷重の1.5倍の荷重をかけお、か぀、その状態で3秒間耐えられなければならない。

繰り返し荷重のほうは、実機の運甚期間を通じおどれぐらいの荷重がかかるかを想定しお、それに合わせた回数の繰り返し荷重をかける。䟋えば、䞎圧した胎䜓は離着陞の床に膚らんだり瞮んだりするから、金属疲劎の原因になる。

旅客機であれば、膚らんだり瞮んだりする回数は基本的に、飛行回数に比䟋するから、「䜕幎間の運甚で䜕サむクルの飛行を想定」ずの数字を出した䞊で、それに芋合った回数の繰り返し荷重をかける。䞀床の飛行の間に䜕回も䞊昇・䞋降を繰り返す機䜓だず、この蟺の条件は厳しくなる。

䞻翌が盞手なら、䞻翌に油圧ゞャッキをかたしお、䞊げたり䞋げたりしお繰り返し荷重をかける。こちらは1床の飛行で1回限りの曲げ荷重ずいうわけではないから、同じ飛行サむクル数の想定でも、繰り返しの回数はずっず倚くなる。

  • 米囜ミズヌリ州セントルむスのボヌむングの斜蚭で疲劎詊隓を受けるためトレヌラヌで運び出されおいるF-15 写真U.S. Air Forc

    米囜ミズヌリ州セントルむスのボヌむングの斜蚭で疲劎詊隓を受けるためトレヌラヌで運び出されおいるF-15 写真U.S. Air Force

萜䞋させる詊隓もある

ずきには、もっず手荒な詊隓を実斜するこずもある。䟋えば、空母に搭茉する艊䞊機は、着艊の際に「制埡された墜萜」ず圢容されるように「ドカン」ず接地するので、降着装眮のみならず、それを取り付ける機䜓構造にも負荷がかかる。

F/A-18ホヌネットの延呜改修では䞭倮郚胎䜓を新品に取り替えおいる。これは、䞭倮郚胎䜓に䞻脚が取り付いおいお、着艊の床に衝撃が加わった結果ずしお、構造材が傷んでしたったからだ。もっずも、䞻翌が取り付いおいる郚分でもあるから、そちらの荷重負荷もあったのだろうけれど。

  • 空䞭絊油・茞送機KC-10から絊油を受ける米囜海軍のF/A-18ホヌネット 写真U.S. Air Force

    空䞭絊油・茞送機KC-10から絊油を受ける米囜海軍のF/A-18ホヌネット 写真U.S. Air Force

それはそれずしお。空母に搭茉する艊䞊機を開発するずきは、機䜓を持ち䞊げお萜䞋させる方法で着艊の際にかかる衝撃を再珟する。近幎の事䟋では、F-35Cがこれをやっおいる。以䞋の動画を芋るず、機䜓を数メヌトルの高さから萜䞋させおおり、着地した機䜓は䜕回か跳ねおから、ようやく萜ち着いおいる。

F 35C Drop Test
https://www.youtube.com/watch?v=iNnSrg7Npzg&ab_channel=CosfordMTS

機䜓が衝撃に耐えなければならないのは圓然のこずだが、そのための詊隓を行う斜蚭も、機䜓が萜ちおきたずきに加わる衝撃に耐えられないず具合が悪いだろう。するず、盞応に䞈倫な斜蚭・蚭備を甚意しないず詊隓ができないずいう話になる。

著者プロフィヌル

井䞊孝叞


鉄道・航空ずいった各皮亀通機関や軍事分野で、技術分野を䞭心ずする著述掻動を展開䞭のテクニカルラむタヌ。
マむクロ゜フト株匏䌚瀟を経お1999幎春に独立。『戊うコンピュヌタ(V)3』(朮曞房光人瀟)のように情報通信技術を切口にする展開に加えお、さたざたな分野の蚘事を手掛ける。マむナビニュヌスに加えお『軍事研究』『䞞』『Jwings』『航空ファン』『䞖界の艊船』『新幹線EX』などにも寄皿しおいる。