従業員がMacとWindowsを選べる理由。ネクストモードが実践する「クラウドであたらしい働き方」

NTT東日本とクラスメソッドの合弁会社として2020年に設立されたネクストモード株式会社。クラウドを活用して働き方を変えるという考えのもと、設立当初から原則として場所を限定しないリモート勤務を採用しています。セキュリティと自由な働き方をどう両立させているのでしょうか。自社で試した仕組みを顧客支援にも活かす同社の取り組みを、久住陽介氏と萩原淳氏に聞きました。

自社を「働き方のショールーム」に

「クラウドであたらしい働き方を」。ネクストモードが掲げるビジョンは、顧客に提案するだけの言葉ではありません。従業員自身が場所にとらわれずに働き、そのためのシステムや運用を自ら試しています。同社は、自社をクラウドを活用した働き方のショールームと位置づけています。

同社は、NTT東日本とクラスメソッドが2020年7月に共同で設立したクラウドカンパニー。AWS(Amazon Web Services)やSaaSのライセンス提供に加え、導入前の検証、構築、運用支援も行っています。自社で運用して得た知見を顧客への提案に反映できることが、同社の事業の特徴です。

設立時には、セキュリティと従業員の働きやすさを両立する仕組みを自ら試し、顧客にも広げたいという考えがあったといいます。コロナ禍は結果として事業の追い風になったものの、設立の検討はコロナ前から進んでいたと久住陽介氏(以下、久住氏)は振り返ります。

「コロナを起点として何かビジネスを考えていたわけではありません。クラウド化への移行が必要とされる流れに、コロナ禍が重なったということです」(久住氏)

ネクストモードは、「自分たちで実践して活用できると確信を持ったSaaS」の導入、運用支援サービスを提供しています。

MacかWindowsかは従業員自身が選ぶ

約40人の従業員全員がフルリモートで働く同社では、勤務場所だけでなく業務端末も一律には決めていません。入社時にはWindowsとMacから希望する端末を選び、現在はメンバーの約7割がWindows、約3割がMacを利用しています。

Macを選ぶのは、ターミナルを使う機会が多いエンジニアだけではありません。以前はWindowsを使っていた営業メンバーのうち、数人がMacに切り替えたといいます。

久住氏自身も以前はWindowsを使っていましたが、実際にMacを使うと動作の速さやマイク・カメラの使い勝手などに利便性を感じたといいます。マウスを持ち歩かずに済む点も気に入っているそうです。

一方、Windowsに慣れた従業員がすべてMacへ切り替えるとは限りません。長くWindowsを使っている人は、本業への影響を避けたいという心理もあって切り替えない傾向もあり、会社としては端末を一律に指定せずに選択制を続けています。

また、Macの導入は情報システム部門にとっても利点があると話すのは、SaaS事業部の萩原淳氏(以下、萩原氏)。

「現在はMDM(モバイルデバイス管理)の『Jamf Pro』や『Jamf Connect』を使ってアプリや証明書を配布しています。端末の初期設定は基本的にゼロタッチで行える仕組みがあります。個人的には、MacはWindowsに比べて初日のセットアップがスムーズでトラブルも少ないと感じています」(萩原氏)

約40人の従業員は日本全国に居住し、東京にある事業所への出社率は1%以下とフルリモート勤務を実現しています。

利用場面に合わせた機種選び

Macは全員が同じ機種ではありませんが、現在は14インチのMacBook Pro(M4チップ、メモリ16GB)が主力モデルとなっており、従業員の入れ替えなど必要に応じて順次導入しています。

一時期は、MシリーズのAppleシリコンチップであればMacBook Airでも十分ではないかと考えて導入したこともありましたが、MacBook Proのほうが適していると感じる状況もあったといいます。

「Web会議と会議の文字起こしツールなどを同時に動かすと、当時試した機種・構成では映像がカクついたり動作が止まったりすることがあったんです。やむを得ずカメラをオフにして使ってもらう場面もあり、個人的にはMacBook Proのほうがよいと考えるようになりました」(萩原氏)

一方で、ゼロタッチ導入を基本にしながらも、端末の調達や登録では例外も残ります。標準の調達ルートでは納期が間に合わず、市販端末を購入することがあるほか、検証用端末については手動で登録しています。

従業員が自分に合う端末を選び、場所を選ばず働けるようにする。その方針は、単にMacという選択肢を増やすことだけではなく、業務に必要なシステムをクラウド側に整え、端末の違いが働き方の大きな制約にならないようにするという同社の根本的な方針と密接に関わっています。

次回は、Mac管理にJamf Proを選んだ理由と、IDaaS(クラウド型ID管理)の「Okta」と組み合わせた運用を見ていきます。

(中編に続く)