この半導体ニュースのまとめ
・PFNとTenstorrentが光電融合技術を実装する生成AI向けプロセッサを共同開発
・PFNが3次元メモリ搭載AIチップレット、Tenstorrentが機密計算対応CPUを担当
・2031年度まで開発を進め、AIエージェントやフィジカルAIなどへの事業展開を目指す
Preferred Networks(PFN)とTenstorrentは10月20日、光電融合技術を実装する生成AI向けプロセッサの共同研究開発を開始すると発表した。
両社の共同研究が、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の「ポスト5G情報通信システム基盤強化研究開発事業/先端半導体製造技術の開発」におけるテーマ「光電融合技術を実装したxPU設計開発」に採択されたことを受けたものとなる。
プロジェクトでは、生成AIやAIエージェント、フィジカルAI、AI for Scienceなどの用途に向け、AIの学習と推論を高性能かつ高効率に実行できるプロセッサシステムを開発する。
PFNが3次元メモリ搭載AIチップレットを開発
PFNは、最先端プロセスと3次元メモリ実装技術を活用し、超高メモリバンド幅を備えるAIチップレットを開発する。
生成AIでは、プロセッサの演算性能だけでなく、メモリとの間で大量のデータを高速に転送する能力がシステム全体の性能を左右する。また、プロセッサとメモリ間のデータ移動に伴う消費電力も課題となっている。PFNは、メモリを3次元方向に実装してプロセッサとの距離を短縮することで、生成AIの学習や推論に必要なメモリバンド幅を確保し、データ転送の高効率化を図ることを目指す。
Tenstorrentは機密計算対応CPUを担当
Tenstorrentは、最先端プロセスを活用し、オープンアーキテクチャをベースとするCPUチップレットを開発する。
CPUチップレットには、データを処理している最中も保護する機密計算への対応を盛り込む。クラウドや共有型AI基盤で機密性の高いデータを扱う際の安全性向上につなげる。
CPUチップレットの設計と機密計算を実証するソフトウェアについては、テンストレントジャパンと連携して開発するという。
光電融合とチップレットでAIシステムを構築
PFNとTenstorrentは、AIチップレットとCPUチップレットを、光電融合技術と最先端パッケージング技術によって統合する。光電融合技術は、プロセッサ間などのデータ伝送を電気信号から光信号へ置き換え、大容量化と低消費電力化を図る技術で、CPO(Co-Packaged Optics)を中心に活用が期待されるようになっている。
AI、CPU、メモリなどの機能をチップレットとして個別に開発し、用途に応じて組み合わせることで、単一の大型チップと比べて柔軟なシステム構成を可能にする形で、光インターコネクトを介して複数のチップレットを接続し、生成AIの学習と推論を担うxPUシステムの構築を目指す。
AI for ScienceやフィジカルAIで実証
プロジェクトでは、開発するAIプロセッサの実証に向け、AI for ScienceやフィジカルAIに対応する領域特化型アプリケーションも研究するとしている。
再委託先として東京大学、神戸大学、東洋大学、海洋研究開発機構(JAMSTEC)、日本原子力研究開発機構(JAEA)が参画。科学研究やロボティクスなどの具体的な用途でプロセッサを評価し、AI半導体とアプリケーションを一体的に開発することで、システムの実用性を高める狙いがあるとみられる。
なお、事業期間は2031年度までの原則5年(60か月)を予定しており、両社は、プロジェクト終了後に、AIエージェントなどへの研究成果の展開と事業化を目指すとしている。