この環境技術関連ニュースのまとめ

・オムロンが太陽光発電、蓄電池、V2Hを統合制御する「KPTP-Bシリーズ」を2027年1月に発売
・従来6ユニットの全負荷ハイブリッドシステムを最小3ユニットへ集約
・最大12kWのEV充電や追加HEMS不要の高度エネルギーマネジメントに対応

オムロン ソーシアルソリューションズ(OSS)は10月7日、戸建て住宅向けトリプル蓄電システム「KPTP-Bシリーズ」を2027年1月から発売すると発表した。

太陽光発電、蓄電池、V2Hに必要な3つのパワーコンディショナ機能を1台に集約し、導入時は太陽光発電のみ、または太陽光発電と蓄電池で構成し、その後のEV購入などに合わせてV2Hを追加できるような柔軟な構成を特長としたシステムで、製品群は「トリプル蓄電パワーコンディショナ」、1台当たり9.7kWhの「蓄電池ユニット」、EVの充放電を担う「トリプル蓄電用EVユニット」、「計測機能付き全負荷用分電盤」で構成される。EVユニットは2027年秋ごろ、そのほかの製品は2027年1月の発売を予定している。

  • トリプル蓄電システム「KPTP-Bシリーズ」

    トリプル蓄電システム「KPTP-Bシリーズ」。左からトリプル蓄電パワーコンディショナ、蓄電池ユニット、トリプル蓄電用EVユニット、計測機能付き全負荷用分電盤 (出所:オムロン)

販売目標は3年間累計15万システムとするが、価格と売上高目標は明らかにしていない。

従来6ユニットの構成を最小3ユニットへ集約

KPTP-Bシリーズの特徴の1つが、全負荷ハイブリッドシステムを構成する機器数の削減である。従来のKPBP-Aシリーズは、「マルチ蓄電パワーコンディショナ」や「蓄電池ユニット」、「全負荷用分電盤」のほか、「PVユニット」、「トランスユニット」、通信・計測を担う「マルチ蓄電用ゲートウェイ」などを含む6ユニットが必要であったものを、新製品では、PVユニットとトランスユニットに相当する機能を従来と同等サイズのトリプル蓄電パワーコンディショナへ統合。ゲートウェイに相当する通信・計測機能も全負荷用分電盤へ組み込んだ。

これにより、パワーコンディショナ、蓄電池、全負荷用分電盤の最小3ユニットで、停電時に住宅全体へ電力を供給できる全負荷ハイブリッドシステムを構成できるようにした。V2Hを組み合わせたトリプル制御でも、業界最少とする4ユニットで構成できるようにし、機器の設置場所と配線を減らしたほか、住宅への導入と施工作業の容易化を実現したとする。

  • KPTP-Bシリーズにおける全負荷ハイブリッド蓄電システム

    従来のKPBP-Aシリーズにおける全負荷ハイブリッド蓄電システムの構成要素とKPTP-Bシリーズにおける全負荷ハイブリッド蓄電システムの構成要素の比較 (出所:オムロン)

9.7kWhの蓄電池を2台接続可能

蓄電池ユニットは1台当たり9.7kWhで、同じシステムに最大2台設置することで、蓄電容量を19.5kWhまで拡張できる。屋内と屋外のどちらにも設置可能で、同容量帯では最小クラスの本体容積としている。

ただし、蓄電池を2台設置する構成ではV2Hを併設できない。蓄電容量を優先するか、EVとの電力融通を利用するかに応じてシステムを選択する形となる。

V2Hは、EVユニットへ充放電ケーブルを直接接続する一体型に加え、住宅の壁面と駐車位置が離れている場合に対応する分離型も用意されており、分離型では、車両の近くにプラグホルダまたはプラグスタンドを設置できる仕様となっている。

  • KPTP-Bシリーズのシステム構成イメージ

    KPTP-Bシリーズのシステム構成イメージ (出所:オムロン)

EVへ最大12kWで充電、満充電まで出力を維持

EV充電では、一般的なV2Hの6kWと比べて約2倍となる最大12kWの高速充電に対応する。

太陽光発電、蓄電池、系統からの買電を組み合わせてEVへ電力を供給する「ブースト充電」を搭載。充電時間に特別な制限は設けず、車両側の条件を満たしている場合は、満充電になるまで最大12kWで充電を継続できるという。

また、太陽光発電の余剰電力は、蓄電池とEVへ同時に充電できるほか、放電時にどちらを優先するかも設定できる。EVが外出している間に太陽光発電の電力を蓄電池へ蓄え、帰宅後に蓄電池からEVへ電力を移し替える運用にも対応する。

現在の市場では、太陽光発電と蓄電池を組み合わせた構成が中心で、EVの購入後にV2Hを追加するケースが多いという。OSSは、EVの普及や補助制度の拡充に伴ってV2H市場も成長するとみて、段階的に機器を追加できる構成を採用した。

追加HEMSなしで高度エネルギーマネジメントに対応

全負荷用分電盤は、一般タイプとエネルギーマネジメント対応タイプの2種類を用意する。

エネルギーマネジメント対応タイプは、通信・計測機能に加え、家庭内の電力使用状況を管理する機能を内蔵。追加のHEMS機器を設置せず、高度エネルギーマネジメント要件に対応できる。

ECHONET Liteに対応するエアコンやエコキュート、EV普通充電器などを接続し、運転状況や消費電力量の確認、ON/OFF、運転モードの変更が可能となる。エコキュートとEV普通充電器では、太陽光発電の余剰電力に応じた自動制御にも対応する。

例えば発電量に余裕がある時間帯にエコキュートを沸き上げたり、EVの充電を開始したりすることで、太陽光発電の自家消費を促し、夜間の買電や蓄電池からの放電を抑える。

GX ZEHを新築住宅市場の成長要因に

OSSは、新築住宅と既築住宅の双方をKPTP-Bシリーズの対象とする。中でも新築住宅では、蓄電池や高度エネルギーマネジメントが求められるGX ZEHを新たな需要拡大の契機として捉えている。

KPTP-Bシリーズは、蓄電池と高度エネルギーマネジメントの双方に単一システムで対応できる点を訴求する。ただし、実際に補助金の対象となるかは自治体や制度ごとに要件が異なるため、個別の確認が必要になる。

パワーコンディショナの自立出力は従来製品の4kVAから6kVAへ拡大。太陽光パネルは4回路、最大10kWまで接続できる。停電時にも住宅全体へ電力を供給し、日常時の自家消費と災害時の電力確保を両立する。また、インターネットに接続するシステムとしてJC-STARの取得も予定しており、製品発売までの対応を目指す。

OSSは、従来の「KPTP-Aシリーズ」も併売し、小型・少ユニット化や追加HEMS不要のエネルギーマネジメントに価値を求める顧客へKPTP-Bシリーズを提案することを計画している。家庭用蓄電システムで国内トップレベルのシェアを持つとする強みを生かし、太陽光発電、蓄電池、EV、住宅設備を一体的に制御する家庭内エネルギーシステムの普及を進めていくとしている。