オムロン ソーシアルソリューションズ(OSS)は8月23日、主に小売り電気事業者をターゲットとして、電力の調達コストの課題解決をサポートするソリューションの「POWER JUGGLING」を9月より提供開始することを発表した。

  • 「POWER JUGGLING」のロゴ

    OSSは電力調達コスト低減ソリューション「POWER JUGGLING」の提供を開始する。(出所:オムロン ソーシアルソリューションズ)

近年では、事業運営に必要なエネルギーを100%再生可能エネルギー(再エネ)で賄うことを目標とする「RE100」の取り組みや、ESG投資を通じた事業機会の増加から、再エネ活用を開始する企業が増えている。また実際の再エネ導入においては、企業や自治体が保有する敷地・施設内に発電設備事業者が太陽光発電システムなどを設置し、発電した電力を施設使用者へと有償提供する「PPAモデル」など、新たなエネルギー取引の市場が開拓されている最中だ。

こうした流れもあり、2016年の電力全面自由化以降、電力の小売り事業にさまざまな企業が参入し取引量が増加していて、それらの企業は国内唯一の卸電力取引市場である日本卸電力取引所(JEPX)を通じて、提供する電力を調達している。

しかしその一方で、昨今の原油やLNGといった原材料の価格高騰や再エネの普及によってJEPXの変動幅が大きくなり、それに伴って電力調達価格も大幅に高騰するなどの課題が顕在化しつつあるという。さらに、2024年以降は電力の過不足を調整するために単価が上昇することも想定されるなど、コスト面での課題が表面化している。 こうした電力調達コスト課題の解決策として、蓄電池によって電力供給の調整を行う方法が注目されている。そして今般OSSは、蓄電池を活用したコスト低減ソリューションとしてPOWER JUGGLINGのサービスを開始するという。

同サービスは、インターネットに接続されているOSS製の家庭用蓄電システムを束ねて制御することで、小売電気事業者向けの調整力として活用するもの。電力契約者の施設に設置した蓄電システムに対し、小売電気事業者からの制御指示に基づいて、OSSがインターネットを介した充放電制御を実施するという。

  • POWER JUGGLINGのサービスフローイメージ

    POWER JUGGLINGのサービスフローイメージ(出所:オムロン ソーシアルソリューションズ)

このサービスを活用することで、JEPXの価格が安い時間帯に蓄電池への充電を行い、価格が高い時間帯には放電を行うことで、電力調達コストを低減するとともに、電力契約者に対してインセンティブを創出することが可能となる。

また、サービス導入時の追加機器が不要である点もメリットの1つだとしており、初期コストを抑えて迅速に運用を開始できるうえ、蓄電池の新設・既設を問わないため幅広く利用できるとする。

OSSによると、POWER JUGGLINGの提供は2023年9月1日から開始するといい、各小売電気事業者との協業を拡大しながら、3年間で累計1万台の蓄電池制御による調整力の提供を目指すとしている。

  • POWER JUGGLINGの主なシステム仕様

    POWER JUGGLINGの主なシステム仕様(出所:オムロン ソーシアルソリューションズ)