トレンドマイクロは8月20日、「個人セキュリティ脅威動向レポート2026年上半期」を公開し、「個人を狙った脅威・詐欺に関する最新動向解説セミナー」を開催した。セミナーでは、詐欺対策チーフアナリストの本野賢一郎氏が、国内で拡大する詐欺やサイバー脅威の最新動向を解説した。

同氏が警戒を呼びかけたのが、警察官などを装って金銭をだまし取る「ニセ警察詐欺」だ。警察庁によると、2026年上半期の認知件数は4466件と前年同期比6.2%減少した一方、被害額は27.3%増の507億9000万円に上った。既遂1件当たりでは約1164万円に達するなど、被害の高額化が進んでいる。

ニセ警察詐欺では、最初の接触手段として電話が9割以上を占める。これまで確認されてきた主な手口は、電話からLINEなどに誘導した後、ディープフェイクの「警察官・検事」がビデオ通話に登場するといったものだ。

偽サイトに「ビデオ通話」、LINEへの誘導が不要に

しかし、本野氏は、偽の逮捕状を表示したり、個人情報や銀行口座情報などを入力させたりする偽サイトに、「ビデオ通話」機能が追加されたことを同社が確認したと述べた。この機能は今年6月末ごろから見られているという。

新機能により、偽の逮捕状などを表示する偽サイト上で、LINEなどのアプリに誘導することなく「顔の見える取り調べ」を演出できるようになった。同氏は「ビデオ通話機能の怖さはLINEに誘導しなくてよいので、攻撃時間を短縮できること」と指摘した。

  • ビデオ通話機能が追加された警視庁を装う偽サイト(出典:トレンドマイクロ)

    ビデオ通話機能が追加された警視庁を装う偽サイト(出典:トレンドマイクロ)

ディープフェイクを悪用した映像や電話番号の真偽を人間が見分けることは極めて困難であり、同社は、一度電話を切って正規の番号に自分からかけ直すことが最も確実な対策としているほか、詐欺対策アプリの活用も有効としている。

生成AIを悪用か、日米中の公的機関を装う偽サイトも

本野氏は警察を装う偽サイトに生成AIが活用されている可能性も指摘した。警察を装う偽サイトのソースコードに、生成AIで構築したと考えられるコメントがあるという。

また、Webサイトやサーバといった攻撃者のインフラに中国語が含まれていることも確認されており、同氏は「攻撃者は中国話者と見られる」と説明した。 さらに、同じ攻撃インフラ上で、米国のサンフランシスコ警察や中国公安部を装う偽サイトも確認された。同氏は、国際犯罪組織が関与している可能性があると指摘した。