三菱ケミカルは4月10日、筑波大学、東京理科大学と核融合炉内の重要機器の1つであるダイバータ向け新規炭素複合材料の開発および評価・実証と社会実装に関する共同研究を開始したと発表した。

共同研究の概要

核融合発電は、次世代のクリーンエネルギーとして世界的に注目されており、商用化を目指した技術開発が各国で加速している。核融合炉は多数の重要機器から構成されているが、その1つであるダイバータはプラズマから放出される熱や粒子が集中する過酷な環境下で使用されるため、高い耐熱性と優れた除熱性能(熱伝導性)が求められている。

現在、国際協力実験炉(ITER)のダイバータ材料にはタングステンが使用される計画になっているものの、連続運転するには耐熱性や耐プラズマ性に課題があり、さらなる耐熱性や熱伝導性を有する材料の開発が求められている。また、タングステンは海外依存度が高く、将来的な供給安定性の観点からも、代替材料の開発が求められているという。

従来の炭素複合材料は、1000度を超える耐熱性と高い熱伝導性を有し、さまざまな産業分野で活用されている。今回の研究では、基材である炭素複合材料に高融点金属を含浸することで、ダイバータ材料として求められる2000度超の耐熱性と高い熱伝導性に加え、必要な耐プラズマ性能を付与することを目指す。

新規複合材料は、核融合炉用途にとどまらず、宇宙往還機や超音速機の熱シールド材などへの応用も可能であり、核融合分野および航空宇宙分野等に幅広く展開可能な、日本発の先進材料として期待されるとのことだ。

なお、各者の役割として三菱ケミカルは高い熱伝導性を有する炭素複合材料の開発、つくば大学が新規炭素複合材料の耐プラズマ性能評価、東京理科大学は含浸金属の選定および基材への金属含侵体の作製をそれぞれ担う。