半導体市場が好調に推移するなか、半導体チップの基幹材料であるシリコンウエハーの売れ行きも回復基調が鮮明になってきた。関連業界では2026年も続伸を見込んでいる。
ただ旺盛な需要はAI半導体関連に偏重していて、勢いに欠ける分野もあることから、面積あたりの単価は下落している。伝統的に日本勢が強いシリコンウエハーだが、台湾や中国勢の攻勢が強まっていることもあって楽観はできない。すでに増産投資の見直しに踏み切るところもでてきた。各国が半導体サプライチェーンの見直を進めるなか、大手の動向が注目される。
シリコンウエハーに使われる高純度シリコンの現状
半導体チップの製造には、口径200〜300ミリメートルのシリコンウエハーが使われることが多い。このシリコンウエハーの材料になるのが高純度シリコンで、多結晶と単結晶に大別される。多結晶を加工して得られるのがシリコンウエハーになる単結晶シリコン。デバイスの用途に合わせて単結晶には様々な種類がある。
シリコンウエハーは信越化学工業とSUMCO、それに台湾グローバルウェーハズ(環球晶円)の3社で75%以上の世界シェアを占めるとみられる。業界団体である新金属協会によれば、2025年の単結晶生産は10,001トンで前年比6%増となり、2023〜2024年と2年続いた前年実績割れから増加基調へと転じた。2026年も前年比8%増の10802トンと、続伸を予想している。
2025年の単結晶販売は前年比7%増、11,106トンで、これも2023年からの2年連続減少から増加に潮目が変わった。2026年予想も前年比8%増の11,995トンである。
なお輸出比率は2017年の57%から毎年上昇し、2024年にはピークとなる68%を記録。2025年も68%だったが、2026年の予想でもこの流れは継続すると予想している。
シリコンウエハーのユーザーである半導体市場はAI向けの活況が続く半面、自動車などの非AI需要は低調と二極化している。各国の大手半導体メーカーが加盟する世界半導体市場統計(WSTS)によると、2025年の半導体市場は26%増の7,917億ドルと過去最高になったものの、半導体の出荷個数は前年比6%増に留まった。
半導体装置・部材の業界団体である米SEMI(セミコンダクタ・イクイップメント・アンド・マテリアルズ・インタナショナル)によれば、2025年のシリコンウエハー出荷面積は約130億平方インチで前年比約6%増となった。しかし自動車や産業向けなどの従来型半導体が軟調なことから、出荷金額は1.2%減になったとしている。
シリコンウエハ大手の最新動向まとめ。課題は中国への対応
このような状況にあってシリコンウエハー大手の動きはさまざまだ。
サムコ(SUMCO)は1〜3月、2025年10〜12月期比で売上げも営業利益も減少を予想する。これはAI向け先端品は好調だが、レガシー品は顧客が在庫の「適正化」を計画しているためだ。
また同社は3月、経済安全保障推進法に基づく供給確保計画の変更認定を受けた。新工場を含む増産投資をとりやめ、既存工場の生産設備の高度化を優先することにした。これで助成金は当初の750億円から193億円へと大幅減になる。
一方、SUMCO同様に業績が伸び悩む台湾のグローバルウェーハズ(GlobalWafers、環球晶圓)は、自動車向けなど非AI市場が好転傾向にあるとみて、2026年の売上げは前年を上回るとみている。
ここ数年大規模な増産投資をしてきただけに、まずは歩留まり改善など目前の課題の解決を図ることにしており、このあたりの考え方はSUMCOと同様だ。炭化珪素(SiC)や窒化ガリウム(GaN)、絶縁膜上にシリコン単結晶層を設ける基板(SOI)といった新たな成長製品にも取り組む。
トップシェアの信越化学工業は、データセンターなどで使われるAI半導体の勢いは、今後数年は続くとみている。画像処理装置(GPU)などのロジックだけではなく、DRAMやHBM(High Bandwidth Memory)向けも数量ベースで相当の伸びを予想している。
シリコンウエハーに限らず、半導体関連で注目すべきは中国の動きだ。
中国で先日開催された「SEMICON China」では、2030年までに半導体自給率を80%に高める目標を打ち上げている。現在の数倍とみられる大きな目標を達成するために、半導体製造用のシリコンウエハーやフォトレジストなどの薬剤、エッチング装置や露光機といった製造装置の内製化に努めているところだ。日本にとって大市場である中国への対応は大きな課題といえる。

