It's F.O.S.S.は3月25日(現地時間)、「Fedora Project Leader Suggests Linux Distros Could Adopt Apple's Age Verification API」において、オペレーティングシステムにユーザーの年齢確認を義務づけるカリフォルニア州の法律への対応策として、FedoraプロジェクトのリーダーがAppleの年齢確認APIを採用する可能性を示唆したと伝えた。

この法律は未成年者保護を目的に、オペレーティングシステム(以下、OS)に利用者の年齢確認を義務づける内容だ。さらにOSのアプリストアから配布されるアプリに対して年齢区分を提供することも義務づけており、一連の仕組みで未成年者を保護する枠組みが整うと考えられている。

  • Jef Spaleta氏の投稿

    FedoraプロジェクトリーダーのJef Spaleta氏が、Appleの年齢確認API採用を提案した投稿

個人識別が前提に、プライバシー侵害への懸念も浮上

しかしながら、確実に利用者の年齢を確認するには個人の特定と識別が必要になる。これにはマイナンバーカードや運転免許証のような信頼性の高い公的書類の確認が必要となるため、この法律は未成年者保護を名目にした将来的な個人特定システムの構築を目指すものだと指摘する意見もある。

Linuxコミュニティで議論紛糾、分裂の動きも

そのため各Linuxディストリビューションのコミュニティでは議論が紛糾している。開発者は法律の施行前に問題を解決する必要があり、さまざまな解決案を提示しているが、これまでのところ幅広い合意を得られた案はない。一部プロジェクトでは合意を待たずに実装を進め、プロジェクトが分裂するなどの影響が出ている。このような状況の中、今回のApple APIの利用が提案された。

FedoraリーダーがApple API採用を提案、現実解となるか

この提案はFedoraコミュニティの別の議論の中で投稿された。議論の出発点は、法律への対応策としてOSからネットワーク関連機能を分離するという野心的な提案だった。

この提案に対しては技術的な難しさや、より簡単な異なる方法が示され、合意形成に至っていない。次第に話がプライバシー侵害などに脱線し始めるとFedoraプロジェクトリーダーのJef Spaleta氏が登場し、Appleの年齢確認APIを採用する内容が提案された。

同氏はこの方法が合理的であること、さらにLinuxディストリビューション全体で共有できる解決策だと主張した。しかしF.O.S.S.の記者は、課題の多い法律への対処としてApple APIを採用させることは至難の業だと述べ、実現可能性は低いとの予想を伝えている。

OSSの理念と企業依存のジレンマ、合意形成は難航か

Apple APIの利用は解決策となり得るかもしれないが、自由度の高いオープンソースソフトウェアが民間企業に依存する形はプロジェクトの本来の主旨から逸脱する行為であり、合意形成は難しいとみられる。

未成年者保護を目的とした1つの法律が、Linuxコミュニティーを騒がせている。全体を納得させ得る解決策は見つかっておらず、この状況はまだしばらく続きそうな情勢だ。