耐圧550V/0.8VをダイヤモンドMOSFETで実現

早稲田大学(早大)発ベンチャーで、ダイヤモンド半導体の研究開発を行う「Power Diamond Systems(PDS)」は3月12日、独自に開発したダイヤモンドMOSFETを用いて、1つのデバイスにおいて耐圧550V、ドレイン電流0.8Aを実現したこと、ならびに同じデバイスを用いて、200V・1Aのスイッチング動作をも達成したことを発表した。

  • 作製されたダイヤモンドMOSFETの光学顕微鏡写真

    作製されたダイヤモンドMOSFETの光学顕微鏡写真 (出所:PDS、以下すべて同様)

新構造の導入と大面積化で課題を解決

ダイヤモンド半導体は、ワイドバンドギャップや高い絶縁破壊電界、優れた熱伝導率などトップクラスの物性値を有していることから、シリコンやSiC、GaNを超す性能を実現できる究極のパワー半導体材料とも呼ばれるが、その実用化に向けては高耐圧化と低オン抵抗化の両立を図ることが技術的な課題とされてきた。特に、高耐圧化の観点では、ゲート端部における電界集中によりドレイン・ソース間耐圧が制限されるという問題があったとするほか、大電流とスイッチング評価に必要な特性の両立には1デバイスあたりの有効面積を抑え、小型デバイスを多数並列接続する必要があったという。

今回の同社の研究では、これまで培ってきたダイヤモンドMOSFETの基盤技術をもとにする形で、フィールドプレート構造を導入することでゲート端部における電界集中を抑制し、高耐圧化を実現したとする。また、同時にデバイスの大面積化を進めることで高電流動作も可能とし、従来課題であった小型デバイスの並列接続に依存しない大電流駆動を実現したとする。

こうした取り組みの結果、1つのダイヤモンドMOSFETにおいて素子耐圧550Vと0.8Aの電流を両立することに成功したほか、同一デバイスにて200V・1Aのスイッチング動作を達成したとのことで、これらの成果について同社ではダイヤモンドパワーデバイスが静特性評価の段階から実用動作検証の段階へと進展したことを示す成果となると説明している。

  • 作製されたダイヤモンドMOSFETの電流-電圧特性、耐圧測定、スイッチング特性

    作製されたダイヤモンドMOSFETの電流-電圧特性、耐圧測定、スイッチング特性

なお、今後については、ダイヤモンド半導体デバイスの社会実装に向けて国内外の研究機関ならびに企業などといった外部パートナーとの連携を通じて、さらなる技術開発やアプリケーション開発の強化を図っていくとしている。

また、同成果の詳細については応用物理学分野の学術雑誌「Applied Physics Express」に2月24日付で受理され、3月10日付で掲載された