東大発半導体関連技術スタートアップが20億円の資金調達を実施

東京大学(東大)発スタートアップで、化合物半導体の結晶成長に関する独自技術「多能性中間膜」を手掛けるGaianixx(ガイアニクス)は3月2日、既存投資家および新規投資家を引受先とした第三者割当増資によるシリーズC 1stラウンドにおいて総額20億円の資金調達を実施したことを発表した。

化合物半導体の高品質化を可能とする独自技術を提供

シリコン半導体よりも高い性能を引き出せる化合物半導体だが、ウェハの大口径化が難しいことから、安価なシリコン基板などを基板結晶として、その上に化合物結晶を作る方法が代替手法として取られることがあるものの、格子定数が異なる(格子不整合)ため、歪みが生じ、それに起因する欠陥などが発生してしまうことから高性能化や大量生産を実現するうえでの課題となっていた。

同社の独自技術である多能性中間膜は、シリコン基板と1層目の成膜材料との間に挟んで1層目材料の単結晶を形成させることで、その上に別の材料層をかぶせた場合でも中間膜を任意に変形させる「動的格子マッチング」により、異なる材料間で生じる歪みを軽減し、多層での高品質単結晶化を実現することを可能とする手法だという。

2社のデバイス開発に加えて約40社からも引き合い

同社によると、前回のシリーズB以降、これらの独自技術の有効性は研究開発の枠を超え、具体的な商用化フェーズへと移行したとのことで、現在すでに2社において同社の材料を用いたデバイス開発への移行が完了しているほか、製品化に向けた強固なコミットメントも得ているという。また、国内外の半導体デバイスメーカーなど約40社から具体的な共同開発や評価の引き合いなども来ているとのことで、しかもその範囲も次世代センサ、通信デバイス、パワー半導体など多岐にわたっているという。

同社では今回調達した20億円という資金について、こうした増加する顧客ニーズへの対応を図ることを目的に、開発拠点として整備が完了した「山梨テクニカルセンター」の本格稼働と、顧客の量産ライン導入を見据えた大規模なサンプル供給およびプロセス検証を可能とする独自パイロットライン運用に向けた投資を行うとするほか、今回の調達で新たに参画した事業会社との連携やネットワークを活用することで北米・欧州・アジア圏への本格進出を進めるのに合わせる形で量産プロセスエンジニアや事業開発、知財戦略のプロフェッショナル採用の拡大も並行して行っていくことを予定しているとする。特に、知財に関しては現在、12件の特許を権利化しているが、継続して国内外で87件を出願中であるとのことで、技術的な参入障壁を高めることで、グローバル市場における競争優位性の確保を勧めたいとしている。

なお、今回の資金調達により、同社の累計資金調達額は約38.5億円となったという。また、今回の投資家としては、既存の東京大学エッジキャピタルパートナーズ(UTEC)、JX金属、JICベンチャー・グロース・インベストメンツ(JIC VGI)、アルコニックス、i-nest Capital、SMBCベンチャーキャピタルに加え、新たに三井金属CVC2号ファンド(Mitsui Kinzoku-SBI Material Innovation Fund II)、Vertex Ventures Japan、東レインターナショナル、きらぼしキャピタルが参画したという。