田中貴金属工業は、焼結金(Au)接合技術「AuRoFUSEプリフォーム」において、“金バンプ”の転写技術を確立したと3月3日に発表。複雑な構造の半導体チップなどにも、同技術を用いてバンプ(突起状の電極)を形成できるようになったという。
田中貴金属のグループ企業として、産業用貴金属事業を手がける田中貴金属工業が発表したもの。
AuRoFUSE(オーロフューズ)は、サブミクロンサイズにそろえた金粒子に有機溶剤を混ぜたペースト状の接合材料で、金の融点(約1,064度)と比べて、約200度という低温で接合できることを特徴としている。
AuRoFUSEプリフォームはそのペースト材料を、あらかじめバンプの形状に形成する接合技術。半導体における配線の微細化・多種チップの集積(高密度化)を可能にし、発光ダイオード(LED)や半導体レーザー(LD)といった光デバイスをはじめ、さまざまなデジタルデバイスでの活用や、車載部品、MEMSなどの半導体の小型化や高性能化のニーズへの寄与が期待されている。
同技術では200度、20MPa、10秒の加圧・加熱後も、バンプの水平方向への変形が少なく、従来のはんだバンプやめっきバンプにあった「電極間の接触によるショートのリスク」や「半導体チップの破損のおそれ」といった課題を解決。高密度な実装が行え、主成分が金であることから化学安定性にも優れ、実装後の高信頼性を持ち合わせる点も特徴としている。
今回、新たに確立した「金バンプの転写技術」は、事前に金バンプが形成された基板(転写基板)を作製し、そこから対象の半導体チップやサブストレート(半導体チップを搭載し電気的・機械的に支えるための基板)へバンプを転写するというもの。
従来の金バンプ形成プロセスは、対象の半導体チップやサブストレートに直接バンプを形成する方法だったため、凹凸や貫通孔など複雑な形状を持つ対象物には、レジストの高さが安定しないなどの課題があり、対応が難しかったという。
新たな転写技術では、転写基板として用いるシリコン基板に開口を設け、その開口部に金バンプを形成。金バンプを開口部全体に充填するように形作ることで、基板に保持され、ハンドリング中に金バンプが脱落しないようにした。一方、転写時には加熱により金バンプが収縮し、開口部と金バンプの間にわずかな隙間が生まれるため、垂直方向の力を与えると容易に引き抜けるという。
この新技術では金バンプを別で作製し、目的の箇所にのみ金バンプを転写できるため、複雑な形状にも適用可能。また、剥離液などによるダメージが懸念され、フォトリソグラフィ工程(基板上に微細な回路パターンを形成する技術)に通しづらい半導体チップやサブストレートにも対応できるようになったことを、メリットとして挙げている。
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転写基板の作製および転写・接合プロセス。1.転写基板として、シリコン基板を準備 2.シリコン基板上にフォトレジストを塗布 3.目的のパターンへ露光現像 4.シリコン基板にエッチングで穴をあける 5.スキージなどを用いてAuRoFUSEを埋め込む 6.AuRoFUSEを常温・真空下で乾燥させ、レジスト上の余分な金粒子をかき取る 7.レジストを剥離して転写基板をつくる 8.金バンプを形成したい対象(半導体チップやサブストレート)を転写基板に当て、10MPa、150度、1分の加圧加熱を行い、垂直に基板を持ち上げると金バンプが転写される 9.転写後の基板を20MPa、200度、10秒の加圧加熱で接合する




