日本科学未来館は2月18日~4月13日の期間で「未来社会の実験場」のコンセプトのもと「大阪・関西万博」を振り返り、その成果を未来へとつなぐ企画の第一弾として「みゃくみゃくとつなぐ展 ~万博とひらく未来~」を開催する。「さよなら、万博。こんにちは、未来。」をコンセプトとした展示となっており、万博に足をのばした人、のばせなった人でも楽しめる展示となっている。

展示では、万博で紹介された未来の食やヘルスケアなどの先端科学技術について、東京初公開となる実物展示を含め、改めて公開するほか、“こみゃく"に象徴される市民の積極的な参加を実現させたデザインシステムや、建築における挑戦などを捉え直し、その成果を“脈々"と未来へつなぐ場をつくるという。

ミライ人間洗濯機などを展示

展示では、大阪・関西万博で紹介された「家庭で作る霜降り肉」「心筋シート」「ミライ人間洗濯機」などの実物展示を、改めて公開する。また、“こみゃく”が生まれるきっかけともなった、万博の「デザインシステム」について紐解くほか、若手建築家が担当した意欲的で常識にとらわれない施設建築における挑戦を紹介。

「未来社会の実験場」として開催された、大阪・関西万博で注目を集めたさまざまな先端科学技術のなかから、未来の食やヘルスケアに関する実物展示を会場に集めている。未来館などが開発を進める自律型ナビゲーションロボット「AIスーツケース」も展示している。

  • ミャクミャク

    ミャクミャク

「家庭で作る霜降り肉」は本物の和牛の細胞を培養し、3Dバイオプリント技術で作製された「霜降り肉」を展示。未来の食に関する課題解決の1つとして注目されている。

  • 「家庭で作る霜降り肉」の3Dバイオプリンタ

    「家庭で作る霜降り肉」の3Dバイオプリンタ

  • 「家庭で作る霜降り肉」

    「家庭で作る霜降り肉」

「心筋シート」は、ヒトiPS 細胞を心筋細胞に分化させて作り出しており、心臓に移植することで、重い心臓病により低下した機能を回復させる治療が可能になるとのこと。

  • 「心筋シート」

    「心筋シート」

万博の中でも注目を集めた「ミライ人間洗濯機」は、1970年の大阪万博で展示された「ウルトラソニックバス(通称:人間洗濯機)」のオマージュとも言える。万博で公開された実機を再度展示(入浴体験はなし)している。

  • 「ミライ人間洗濯機」

    「ミライ人間洗濯機」

AIスーツケースは、次世代移動支援技術開発コンソーシアムや未来館が協力しながら開発を進め、万博でも約4800人以上が実証実験に参加した。

  • 「AIスーツケース」

    「AIスーツケース」

“こみゃく”でつながる二次創作

一方、SNSを中心に、“こみゃく”と呼ばれる市民による二次創作が話題となった。SNSの盛り上がりは、万博を身近に感じ、積極的に関わる雰囲気をつくる1つのきっかけともなり、市民の関わり方を実現させたのは、“開かれたデザイン”をコンセプトに掲げる万博の「デザインシステム」の存在と、制作の中心となったクリエイティブディレクター 引地耕太氏による積極的な発信だった。

  • 数々の“こみゃく”も展示されている

    数々の“こみゃく”も展示されている

展示では、引地氏がデザインシステムを提案した際のプロポーザル資料や、万博のデザインに関わる出来事をまとめた年表など、デザインシステムが生まれるプロセスを紹介。

“参加と共創をうながすプラットフォーム”としての役割を果たしたデザインシステムのユニークさに注目し、積極的な市民参加をうながすための、新しい公共的な取り組みのあり方を考えさせるものとなっている。会場には、市民が二次創作した“こみゃく”たちも展示している。

また、万博会場全体を包み込んでいた「サウンドスケープ」も再現しており、7人のコンポーザーが手がけたサウンドから、命・祭・街・森・水・空・地をテーマに創出された異なる音楽が、会場を1つの生態系(地球)に見立てて、緩やかに調和させている。

そして「多様でありながら、ひとつ」という会場コンセプトを見事に具現化した「大屋根リング」。万博を象徴する建築として、大きな注目を集めた一方、万博会場内に設置された休憩所やトイレなどの施設では、若手建築家による建築の常識にとらわれない大胆な挑戦があった。

展示では大屋根リング設計者の藤本壮介氏がデザインプロデュースした会場計画や大屋根リングが実際に使われている様子を記録した映像とともに、若手建築家が担当した3つの施設建築を紹介している。

石という素材を通して“コスパ”を再考する挑戦や、1970年の万博で活用された建築技術「空気膜構造」の再解釈、また万博終了後の効果的な活用を念頭に置いた設計コンセプトなど、建築の観点からも未来社会につながる実験的な取り組みが展開されていたことを紹介している。

紹介する若手建築作品は、工藤浩平氏の休憩所2「Time-scape Pavilion」、小俣裕亮氏のトイレ3「レスポンシブ・ストラクチャー」、米澤隆氏によるトイレ5「積み木のような建築」だ。

万博のクリエイティブディレクション・アートディレクションを務めたVISIONs 代表の引地耕太氏は「“さよなら、万博。こんにちは、未来。”をキャッチコピーにしています。万博は終わりましたが、それを起点に新しい未来が始まると考えています。万博に訪れた人、あの時の熱狂を忘れられない人、万博ロスになってしまった人、行けなかった人も含めて“万博を体感したような気持ち”になれるのではないかと思います」と述べていた。

  • VISIONs 代表の引地耕太氏

    VISIONs 代表の引地耕太氏

なお、会場は日本科学未来館1階 シンボルゾーン、開館時間は10:00~17:00(初日2月18日のみ13:00から開始)、入館料は無料(常設展やドームシアターへの入場は別途料金)となる。