ZIPAIR Tokyoが、同社の旅客機に初めて“サメの肌”のような塗膜を施し、1月27日から国際線で運航を開始。航空機の空気抵抗を低減することで、燃料消費やCO2排出量の削減を追求し、脱炭素化を推進するとしている。

  • リブレット施工後のZIPAIR機(787-8型機)

    リブレット施工後のZIPAIR機(787-8型機)

  • リブレット施工部分(JA851J)

    リブレット施工部分(JA851J)

ZIPAIRは日本航空(JAL)グループの中長距離LCC。今回は同社とJAL、宇宙航空研究開発機構(JAXA)、塗料関連事業などを手がけるオーウエルの4社が共同で、ZIPAIRが推進するCO2排出量削減の取り組みの一環として、同社の機材であるボーイング787-8型機(JA851J)にリブレット塗膜施工を実施した。なおこれは、JAXA宇宙イノベーションパートナーシップ(J-SPARC)の共同実証によって進められてきた取り組みでもある。

航空機の機体にこうしたリブレット加工を施し、燃料消費を抑えて脱炭素化につなげる取り組みは、ANAやJALなどが既に実現しており、今回はJALグループの中長距離LCCにも拡がったかたちだ。

リブレットとは、サメ肌形状によって水の抵抗が軽減されることにヒントを得て考案した、微細な溝構造のこと。航空機の飛行時の空気の流れに沿って、機体外板に微細な溝を施すことで、飛行時の空気抵抗を減らせるという。

今回の機体には、オーウエルとJAXAの共同特許技術である「Paint-to-Paint Method」(既存の塗膜上に、水溶性の型で塗膜に凹凸を形成する手法)をを用いて、飛行機の機体外板にリブレット形状塗膜を実施。

リブレット転写シートの圧着治具の改良や、位置決めのための新たなサポート治具の開発により、施工の品質と効率が向上したという。この作業はZIPAIRの拠点がある成田国際空港のJAL格納庫で行われ、東京国際空港(羽田空港)に加えて、成田国際空港でも施工できることを確認した。

  • Paint-to-Paint Methodの作業工程の概要

    Paint-to-Paint Methodの作業工程の概要

  • 成田国際空港JAL格納庫におけるリブレット施工作業風景

    成田国際空港JAL格納庫におけるリブレット施工作業風景

なお、リブレット形状塗膜を施したJALのボーイング787-9型機(JA868J)は2025年1月から運航開始し、同年11月にはその施工面積を拡大して引き続き国際線で運航中とのこと。

JAXAのリブレット抵抗低減推算技術によれば、胴体上部への施工をさらに拡大したことで、巡航時の抵抗低減率が0.31%に向上(従来は0.24%)。年間約154トンの燃料消費量と、約492トンのCO2排出量の削減が期待されるという。これは、JAXAが算出した抵抗低減率と、過去1年間の成田〜フランクフルト線における燃料消費量を元に算出した、当該路線を1年間飛行した場合の予測効果となる。

  • リブレット形状塗膜を施したJJALの旅客機

    リブレット形状塗膜を施したJJALの旅客機

  • リブレット形状拡大エリア

    リブレット形状拡大エリア

さらに、より高い抵抗低減率性能を持つ「鋭角片刃形リブレット」と呼称する新たな形状のリブレットの研究開発も同時に進めており、飛行環境下での耐久性を確認中。片刃包丁の刃の様な断面形状により、約6~6.5%の表面摩擦抵抗低減率を持つのを特徴とする(従来形状は約5%)。

ZIPAIRら4社は今後も、リブレット形状塗膜の耐久性や美観、長距離国際線における燃費改善効果の検証を行い、施工機体や施工範囲のさらなる拡大に取り組み、航空機の脱炭素化を推進していく。