ソフトバンク子会社が次世代メモリの開発に向けてIntelと協業

ソフトバンクの100%子会社「SAIMEMORY」が2月2日付で、Intelと低消費電力かつ高容量、広帯域を実現する次世代メモリ技術「ZAM(Z-Angle Memory))の実用化に向けた協業契約を締結したことを発表した。

また2月3日、東京で開催されたインテルが開催した「技術とビジネスをつなぎ社会を前進させる」をテーマとするイベント「Intel Connection Japan 2026」の基調講演にSAIMEMORYの代表取締役社長 兼 CEOである山口秀哉氏と、IntelのFellow and CTO Intel Government TechnologiesのJoshua Fryman博士が登壇し、協業内容の説明を行った。

  • 山口秀哉社長

    「Intel Connection Japan 2026」にてIntelの研究成果を披露するJoshua Fryman(ジョシュア・フライマン)博士(右)、その左がSAIMEMORYの山口秀哉社長

積層メモリの熱とパワーのトレードオフの突破を目指す

SAIMEMORYは、ソフトバンクが次世代メモリ技術の実用化に向けた研究開発を推進することを目的に2024年12月に設立した子会社(2025年5月に現社名に変更)で、社名には「“才”能や天“才”といった意味、そういった意味ではジーニアスメモリとも言えるほか、尺貫法の体積の単位である升の1000分の1の単位に“才(抄)”というのがあり、すごい小さいチップであっても容量があるものができるという意味を込めた」(山口氏)という。そのため、同社のロゴもチップをイメージした四角に「才」の漢字をあしらったものとなっているとする。

同社のビジョンは「Creating the next memory paradigm for the AI supercycle」で、AI向けメモリを再定義したいという思いがあり、熱とパワーのトレードオフを突破することがターゲットだと同氏は自社の目指すべき技術方向性を説明する。

縦型のメモリ構造で課題の解決を目指す

今回の協業では、Intelが米国エネルギー省の支援を受けて推進しているAdvanced Memory Technology(AMT)プログラムで確立された次世代メモリの基盤技術や、Next Generation DRAM Bonding(NGDB)イニシアチブで実証された技術的知見を活用する形で、SAIMEMORYがZAMと呼ぶ縦型メモリアーキテクチャの確立ならびにその製造技術の研究開発を進めていくこととなる。

現在のスケジュールとしては、2027年度中のプロトタイプ作製、2029年度中の実用化(Intelのリリース文では2030年の商用化としていることから2030年度第4四半期と見られる)を目指すとしている。

このZAMは、技術的な詳細は明らかにされなかったが、Z(縦)方向にメモリを構築して、それを横に並べていくことで、3Dメモリで生じる熱問題とそれに起因する性能低下を解決しようというもの。SAIMEMORYによれば、20層以上のHBMを実現するには技術的な課題が多くあり、現状のままの積層技術では限界が見えてくるとみているため、その課題を突破するためのスケーラビリティを確保するための技術になるとする。

  • ZAMの概要

    Intel Connection Japan 2026にてSAIMEMORYが示したZAMの概要 (編集部撮影)

なお、SAIMEMORYは100%ソフトバンク子会社であるものの、スタートアップという位置づけで山口氏は「毎月、人材を募集している。2月も4名が入社してくれたが、まだまだエンジニアが不足している。やってやるという人は声をかけてもらいたい。年齢などは関係なく、実力次第の会社です」と会場の聴衆に向けて転職を促していた。