スマホ以外でも活用が進むカメラモジュール
市場調査会社Yole Groupの調査レポート「Camera Module 2025」によると、世界のコンパクトカメラモジュール(CCM:小型カメラモジュール)市場は2024年、最大市場であるスマートフォン(スマホ)市場の伸びに中国を中心とした消費者需要の緩やかな回復、自動車分野の需要の増加などが合わさり、数量で70億モジュール、金額としては388億ドルに到達したが、その後も成長を続け、2030年には490億ドル規模に到達することが期待されるという。
2024年の数量の約96%(約67億モジュール)がモバイルおよびその他の消費者向けアプリケーションで占められたほか、ドローンやウェアラブル、スマートホーム関連などの「その他の消費者向けカテゴリ」は全体としては微減となっているが、XRヘッドセットは成長基調にあり、次世代の消費者向けカテゴリを下支えしているとする。また、ノートPC/タブレットおよび医療用イメージングも一定の需要の継続があったものの、産業向けはコンピュータビジョンからのニーズはあったものの欧州と北米の設備投資の遅れで減速したとする。
技術トレンドとしては、イメージセンサがCCM全体の50%以上を占めており、高解像度、28/22nmロジック、OIS/オートフォーカス拡張などの伸長が見られるほか、3Dモジュールの伸びも期待できるとする。
また、モバイルに加え自動車が成長エンジンとして期待されるようになってきており、2024年にはADASの普及と車室内監視需要の高まりから車載カメラモジュールの出荷数は2億5000万個を超えたという。さらに、中国を中心に車1台あたりの搭載カメラ数は増加をし続けており、今後の成長が期待できるともしている。
そのためYoleでも、スマホと車載カメラをけん引役に、XR、ロボット、内視鏡、産業用ビジョンなどの成長が加わる形でCCMの出荷台数は2030年までに86億台を超えると予測している。
垂直統合を推進するカメラモジュールメーカー各社
サプライヤの動向を見ると、2022年から2025年にかけて、大手の韓LG Innotekのほか、Samsung Electro-Mechanics(三星電機)、中AAC Technologies、中Sunny Opticalといった主要プレーヤ各社は光学、アクチュエータ、アセンブリ全体の垂直統合を深めている中、中Ofilmなども買収や工場の能力拡張を行い追随しており、特にベトナム、メキシコ、インドでは80億ドル以上が新規生産に投資されたという。
高付加価値化が進むカメラモジュール
カメラモジュールメーカー各社は付加価値の向上を目指しており、JahwaとSemcoは、Appleなどが採用しているペリスコープズームの鍵となるボールガイドアクチュエータを開発。ペリスコープモジュールの出荷台数は、2024年の8500万台から2030年には1億6000万台に増加する見込みだという。また、CMOSイメージセンサでは、積層技術により、より高いSNR、オンセンサAIが可能になったほか、ロジック回路の22nmプロセス採用が進みつつある。新興のSPADセンサやニューロモーフィックセンサは、低照度およびスマート検出市場をターゲットにしている。
さらに光学系は、ガラスとプラスチックのハイブリッドとメタサーフェスの統合を通じて進化し、メタレンズと液体レンズが成熟期を迎えているほか、自動車用画像処理分野は、最大8MPのHDRセンサ、RCCBフィルタ、ハイブリッドレンズ、セルフクリーニング設計などが採用されるようになっている。
iPhone18にSamsungのイメージセンサが搭載か? 海外メディア報道
長らくソニー製イメージセンサが搭載されてきたApple iPhoneだが、2026年の秋に登場すると言われている次世代製品「iPhone 18」にはSamsung Electronicsが米国で製造したイメージセンサが搭載されるのではないかという話が昨年末以降、海外メディアの間で飛び交っている。
先行してAppleは2025年8月に、4年間で米国に6000億ドルを投じる計画を発表し、新たに追加した1000億ドルでSamsungを含む10社との協力関係の構築を示した。当時、Appleは、Samsungのテキサス州オースティン工場では、世界初となる革新的な新技術の導入に取り組んでおり、この技術を米国に初めて導入することで、iPhoneを含むApple製品の電力と性能を最適化する半導体が供給されることとなるという趣旨のコメントを出しており、このタイミングで一時、世界中のメディアがiPhoneにSamsungの米国で生産されたCMOSイメージセンサが搭載されるのではないかと報じていた。
Samsungが米国で製造するイメージセンサは、Cu電極の3枚のシリコンウェハを積層する構造を採用し、各ウェハにフォトダイオード、トランジスタ、A/Dコンバータを集積し、ピクセルの小型化と低ノイズ化を実現したもの。同社は、この技術をIEDM 2023にて発表しており、IEDMにおけるその年の注目論文の1つにも選ばれている。韓国内の工場にてすでに2億画素の製品が生産されており、米オースチン工場にも技術移管が進められていると言われている。
ただし、仮にSamsungのイメージセンサが採用されても、どの地域向けのどの製品に適用されるのかは不明で、米国向けに作られた米国製モデルだけ、といった噂もあり、長年Appleと関係を構築してきたソニーがいきなりすべての契約を失うということはありえないという見方が有力である。
ソニーは、2025年8月開催の業績説明会ならびに同11月開催の業績説明会にて、米国での自社生産についてはハードルが高いとの認識を示しつつ、共同出資などさまざまな対応方法を検討していくといった説明を行っていた。同社は2025年度第3四半期決算の説明会を2月上旬に開催する予定だが、そこでこれまで語ってきた検討内容や対抗策が語られるのかが注目される。


