CMOSイメージセンサの発明者がチャールズ・スターク・ドレイパー工学賞を受賞
全米技術アカデミー(NAE)は、米ダートマス大学のエリック・R・フォッサム教授に「工学分野のノーベル賞」とも呼ばれる「チャールズ・スターク・ドレイパー工学賞」の2026年度受賞者に選出したことを発表した。
受賞理由は「CMOSアクティブピクセル・イメージセンサ『カメラ・オン・チップ』の革新、開発、および商業化」としており、2026年2月18日にワシントンD.C.で開催される式典にてメダルの授与が行われる予定。
同賞は、慣性航法の父と呼ばれるチャールズ・スターク・ドレイパーにちなんで創設された工学の分野における最高栄誉とされる賞で、生活の質の向上、自由で快適な生活の提供、情報へのアクセスの促進など、社会に多大な影響を与えた実用化の功績を持つエンジニアを表彰し続けてきた。ドレイパー社の支援を受けてNAEが2年ごとに授与する形で、賞金は50万ドルとなっている。
2026年度の西澤メダルも受賞
また、同氏はIEEEから2026年度「ジュンイチ・ニシザワ・メダル(西澤メダル)」の受賞も決まっている。受賞理由は「CMOSイメージセンサの発明、開発、および商品化」である。西澤メダルは、IEEEが材料科学とデバイスの研究開発で顕著な業績を上げた研究者に日本の電子工学の父とされ、東北大学の総長などを務められた故 西澤潤一先生の名を冠したメダルを授与する表彰制度で、2002年に創設された。
現代社会の礎の1つとなっているCMOSイメージセンサ
フォッサム氏らによるCMOSアクティブピクセル・イメージセンサ(いわゆるCMOSイメージセンサ)の発明は、日常生活、産業、そして科学的発見のあらゆる分野において、画像処理に革命をもたらした。もともとNASAの宇宙船用カメラの小型化を目的として、カリフォルニア工科大学NASAジェット推進研究所での研究成果を元に生み出されたこの技術は、高画質画像処理をより小型、高速、そして高エネルギー効率化に成功した。この画期的なCMOSイメージセンサは、後に同氏が共同設立し、Micron Technologyよる買収まで経営に携わった米Photobitを通じて商品化された。現在、彼の発明は、年間約70億台生産されるカメラの中核技術として機能している。
同氏は、ダートマス大学工学部の教授として、同大学で教鞭をとり、博士課程イノベーションプログラムを指導するとともに、イメージセンサの研究を行っている。また、同大のアントレプレナーシップおよび技術移転担当副学長も務めている。
また同氏は、極低照度環境下でも高解像度の撮影を可能にするCMOSベースの光子計数型イメージセンサ「Quanta Image Sensor」も発明している。同大の元教え子たちと共に、この技術を商業化するためにGigajotを共同設立したほか、SiimpelのCEOを務め、スマートフォンカメラモジュールのオートフォーカス用MEMSデバイスの開発に携わったり、Samsung ElectronicsでToFセンサ開発のコンサルタントとしても活躍。さらに、国際画像センサ協会(IISS)の共同設立者でもあり、初代会長を務めた経歴を有する。
なお、同氏はコネチカット州の出身で、コネチカット州トリニティ・カレッジで物理学と工学の学士号を取得し、イェール大学で工学と応用科学の博士号を取得。300本以上の技術論文を発表し、185件の米国特許を保有している。
