Yole Groupが発表した調査レポート「Power SiC 2025 - Front-End Manufacturing Equipment」によると、自動車市場の減速で、SiCサプライチェーンは稼働率の低下、過剰な生産能力、投資削減のサイクルといった懸念が生じているという。しかし、市場の減速にもかかわらず、SiCは車両電動化の中心であることに変わりはなく、2024年から2030年にかけて年平均成長率(CAGR)23.9%で成長し、市場規模は2030年までに100億ドル近くに達すると予測されるという。
2019~2024年においてSiCは設備投資ブームとなり、現状の生産能力は過剰気味となっているほか、設備投資も2023年にピークを迎えた後に減速し、2025年はサプライチェーン上流の工程の稼働率が約50%、半導体製造ラインでも約70%まで低下したとする。この低迷は2027~2028年まで続くと予想されるが、そのころまでに200mm化が進むほか、次世代のトレンチおよびスーパージャンクションMOSFETにより、新たな成長期を迎えることが期待されるとする。
2024年から2030年のCAGRはマイナス7%と予測されるが、IDMの多くが2023年を下回る規模での投資を継続させる見通しのほか、市場の回復に併せて、後工程への新規投資が進むことが期待されるともする。
SiC独自の特性が装置市場の成長を支える
Yoleによると、SiCサプライチェーン上流のブール(円筒形の単結晶インゴット製造)およびエピウェハ工程は専用ツールが必要となるが、多くのデバイスメーカーがレガシープロセスでファブを稼働させており、ほとんどの製造プロセスでシリコン向けのものを活用できる。そのため純粋なSiC製造装置の需要は限定的だが、欠陥性、硬度、脆性、透明性、異方性、化学的安定性といったSiC独自の特性が移行需要を支え、2030年にかけて成長が続く見込みだとする。
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(上)全半導体前工程製造装置売上高に占めるSiC専用前工程製造装置売上高の割合の推移、(中)全半導体前工程HTCVD装置売上高に占めるSiC専用HTCVD装置売上高の割合、(下)全半導体前工程イオン注入装置売上高に占めるSiC専用イオン注入装置売上高の割合
中国の製造装置メーカーが台頭
現在、中国政府による装置の現地調達が奨励されていることもあり、新規製造装置への投資の多くが中国に集中していおり、2024年時点で中国企業はすでにSiCウェハおよびエピウェハの生産能力の約40%を占める規模へと成長している。また、デバイス製造分野への進出も見込まれている。
なお、Yole GroupのTaguhi Yeghoyan氏は、現状分析として、中国はSiCの前工程能力を高めてきているほか、結晶成長とエピで中国内ベンダーが激しい競争を繰り広げるようになっている。一方、薄膜化、計測技術、高度なイオン注入技術では、中国以外の企業がリーダーシップを維持していると指摘している。


