Hondaが、独自の協調人工知能「Honda CI」を活用した自動運転技術の実証実験を、神奈川・小田原市内で2月に開始。2030年頃のCI自動運転技術の実用化に向け、まずは2027年度に特定条件下での自動運転レベル4認可取得をめざす。実証実験車両として「CR-V」、「N-VAN e:」の2種類を使用する。

  • 実証実験車両の「CR-V」

    実証実験車両の「CR-V」

Honda(本田技研工業)の研究開発子会社・本田技術研究所が、神奈川県および小田原市と締結した、「交通課題解決に向けた自動運転技術の実証実験に関する協定」に基づく取り組み。起伏に富む地形や、交通量の多い道路といった小田原市の環境を生かし、傾斜地におけるCI自動運転技術の認識能力向上や、従来の低速から中速へ対応速度域を拡大することをめざす。

具体的にはまず、CR-Vにセンサー類を設置した実証実験車両を使い、安全監視員が乗車した状態で、小田原市橘地域の工業団地にある公道を周回するかたちで、CI自動運転システムの技術を検証。

その後、走行エリアを拡大し、システムの対応速度も時速60kmまで引き上げるなど、実証範囲を拡張していく。実証車両も、EV(電気自動車)のN-VAN e:へ移行し、CI自動運転技術の進化とカーボンニュートラルの実現への取り組みを並行して進める。

なお、2027年度の認可取得をめざす「特定条件下での自動運転レベル4の実現」とは、幅員6m以上、一般的な傾斜条件、最高車速 時速60kmという条件下での自動運転のことを指す。

  • 実証実験車両の「N-VAN e:」

    実証実験車両の「N-VAN e:」

HondaのCI(Cooperative Intelligence)自動運転技術とは、振る舞いや言葉を通じてコミュニケーションを図り、ユーザーや周囲の人と協調しながらユーザーを支える人工知能を活用した自動運転のこと。高精度地図や大規模なインフラ設備を必要とせず、さまざまな環境へ適応できる点を特徴としている。

同社ではこれを生かし、今ある町や道路環境の中に先端技術を加え活性化していく“レトロフィット型”(既に存在するものを生かしながら、新しい技術や仕組みを用いて改装・改造し、新しいものへアップデートすること)のアプローチにより、地域に寄与することをめざしている。

Hondaは、今回の小田原市での実証をはじめ、地域ごとの特性を生かした多様な実証を通して技術の信頼性・汎用性を高め、幅広い交通環境に対応するCI自動運転技術の実現に取り組む。さらに乗用車だけでなく、バスやマイクロモビリティといった、多様なモビリティに適用することを視野に入れた技術進化を図っていく。

小田原市での技術実証実験の狙いは以下の通り。

自動運転レベル4に必要な冗長性の確保と対応速度域の拡大

これまでHondaは、CIマイクロモビリティ(グリーンスローモビリティ:国土交通省が推進する、時速20km未満で公道を走行可能な電動車を活用した小さな移動サービスと、その車両も含めた総称)として、カメラによる認識技術とCIを組み合わせ、車両の走行条件が時速20km未満での自動運転レベル4の実現をめざしてきた。

今回の実証実験では、交通量や走行速度の高い一般道での自動運転レベル4の展開を見据え、カメラに加えてLiDARを実証実験車両へ搭載。これにより、遠方の物体や交通参加者の位置・速度を高精度に計測し、認識精度と冗長性を強化する。そして、対応速度域を時速60kmまで拡大しても、自動運転レベル4に必要な安全性を確保できることをめざす。

傾斜地における認識能力の向上

CI自動運転技術は、高精度地図を必要とせず、カメラベースで周辺環境を認識しながら自動で走行する「地図レス協調運転技術」を備えている。しかし、勾配変化が大きい走路では、検出した交通参加者や道路構造物の位置精度が変化するため、自動走行の難易度が上がるという課題があった。

今回の実証では、LiDARを搭載することで、勾配変化に影響されず交通参加者や道路構造物の位置を高精度に検出可能になる。小田原市のさまざまな勾配でシステムの検証を行い、傾斜地における認識能力や精度を向上させる。